RIKEN-MIT脳科学研究センター(RMNRC)の研究者が、初めて長期記憶の再生にかかわる遺伝子を特定した。マサチューセッツ工科大学(MIT)Picower
Center for Learning and Memoryの所長であり、RMNRC研究員であるノーベル賞受賞者 利根川進氏は、自身の最新の発見が、アルツハイマー病の犠牲者を苦しめる記憶障害を克服し、中年の「年寄りの物忘れ」をなくす治療薬の開発につながるであろうと語った。
利根川氏の研究グループは、記憶を構成する分子、細胞、神経ネットワークのメカニズムを探究している。同氏は、脳内の特定領域における特定の遺伝子をノックアウトした新しいマウス系統の作製を可能にする遺伝子テクノロジー開発の先駆者である。同氏とMITの共同研究者らは、これまでの研究で、遺伝子操作されたマウスを使用して、CA1と呼ばれる海馬領域内のNMDA受容体の遺伝子が長期記憶を形成するのに重大な役割を果たすことを示している。これらの研究で、利根川氏は、一般的な記憶に重大な役割を果たすことが分かっている海馬が遺伝子変異したマウスを作製して調べた。
Science, Vol. 297, Issue 5579,
211-218, July 12, 2002
Kazu Nakazawa, Michael C. Quirk, Raymond A. Chitwood, Masahiko Watanabe, Mark
F. Yeckel, Linus D. Sun, Akira Kato, Candice A. Carr, Daniel Johnston, Matthew
A. Wilson, Susumu Tonegawa