理化学研究所脳科学総合研究センター(理研BSI)Brain Science Institute



神経回路の選択的可視化に成功
─脳の構造・機能の解明に新しい道を開く─


 シナプス分子機構研究チーム
 シナプス分子機構研究チーム(吉原良浩チームリーダー)は、発生工学的手法を用いて、嗅覚、視覚、運動制御などの各機能に関わる神経回路を機能別に可視化する技術の開発に成功しました。

 脳の構造・機能を研究するためには、ニューロン(神経細胞)がどのようにつながって、神経回路を構成しているかを知ることが大前提となります。神経回路の可視化(染色などにより目に見えるようにすること)はそのための重要な手法ですが、これまでは、神経回路を機能別に可視化することは不可能でした。

 本法は、可視化するために単にWGA(小麦胚芽レクチン)を注入するのではなく、発生工学的手法により特異的プロモーターを連結したWGA遺伝子をマウス個体に導入し、研究対象とする機能に関わる神経回路の起点となるニューロン内だけでWGAを生産させる手法を考案しました。

 この技術により、動物の種を問わず様々な神経回路を機能別に選択して可視化することが可能であると考えられ、今後の脳の機能解明研究や脳疾患の解明・治療研究に極めて大きなインパクトを与えるものと期待されます。

 この研究の成果の詳細は、平成11年1月29日に発行されたNeuron誌(米国)で発表されました。

Yoshihara, Y., Mizuno, T., Nakahira, M., Kawasaki, M., Watanabe, Y., Kagamiyama, H., Jishage, K., Ueda, O., Suzuki, H., Tabuchi, K., Sawamoto, K., Okano, H., Noda, T., Mori, K., A Genetic Approach to Visualization of Multi-Synaptic Neural Pathways Using Plant Lectin Transgene
Neuron, 22, pp33-41, January (1999)

今回開発した可視化技術

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