一方、研究機器部門には、組織図に示した項目別に関連機器・装置を整備しています。研究手技の一つとして、先端的機器を用いることは大変重要であり、私たちは研究者の要望を聞きながら、解析機器を漸次整備しています。各機器には専属のオペレーターを配置し、研究者から依頼を受けたサンプルについての解析を行っています。
以上の2部門では、いずれも研究者が自由に、しかも効率良く利用できるように配慮されています。RR の運用面において大切なことは、日々の技術の革新です。このために、動物飼育担当者や機器のオペレーターは共に、専門家あるいは研究者と密に接触し、データの解析を行いつつ新技術を身につけていくようにしています。また、該当者を色々な技術講習会などに派遣し、新技術導入を図ろうとしています。そしてこのような支援組織を支える職員が、自信と誇りをもって積極的に活動できる体制作りが肝要と考えています。
もう一つのリサーチリソース
研究者は各々が秘蔵ともいうべき研究技術・材料を持っています。そこで ATDC では、BSI の各研究チームが持っている研究技術、材料、機器を調査し、これをホームページに掲載しています。BSI の研究者は、必要に応じてこれらを享受できます。要するに、研究者同士が互いに give and takeで技術交流を行っています。この効果とも言えると思いますが、Eメールで「こんな抗体をどなたか持っていませんか」とか、「こんな技術をどなたか教えていただけませんか」というリクエストが流されます。すると間もなく「私が持っています」とか、「私が教えてあげます」とのレスポンスがメール上でなされます。私は上述の技術のリストアップ、交流体制をもう一つのRRと自称し、BSI全体がATDCであると考えます。
お わ り に
ここに紹介しました ATDC の組織のうち、RR の組織は外国の研究機関に類例を見ることができます。しかし、研究技術開発チームを合わせ持っている機関はなく、この点が ATDC の特徴と言えます。私たちは ATDC を一層拡充・整備し、21世紀に向けて上昇気流に乗った脳科学研究の「切り口」を担わなければなりません。近い将来は、ATDC の持つ施設、機器のみならず、研究技術や材料をも BSI 外に公開し、脳科学研究者に広く活用していただくことも考えています。
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