理化学研究所脳科学総合研究センター(理研BSI) Brain Science Institute



TOPICS
老化・精神疾患研究グループ 研究レビュー委員会の開催
 5月13日〜15日にわたり、老化・精神疾患研究グループ(伊藤正男グループディレクター、所属4チーム)の研究レビュー(評価)委員会が開催されました。委員会は、Prof. Steven Hyman(ハーバード大学副学長)を委員長とする12人の委員で構成され、4つの研究チームについて次期の5年も継続することを推奨しました。グループ全体に対する評価結果(概要)は以下のとおりでした。
理研が、老化や精神疾患に関する非常に重要な問題に取り組んでいることは、まことに喜ばしい。アルツハイマー病や精神 疾患の研究は、日本にとっても世界にとっても重要課題である。精神医学の領域では、病因に対する遺伝子レベル、分子レベルの研究手法は前向きなアプローチであり、日本の科学を精神疾患研究の最先端に位置付けるものである。
老化及び精神疾患研究の領域に専門知識をもつグループディレクターを得るには、スペースが許すのであれば、現在のチームと相補的な重要分野で5番目の研究チームを追加し、年配のリーダーを見つけることであろう。
アルツハイマー病研究の2チームどうし、精神疾患研究の2チームどうしの交流は期^待されるより少なかった。より強固な知的 連携が理想的だが、少なくとも、チップやバイオインフォマティクスの専門的知識のような技術を利用する際に協力することは重要であろう。特に予算がやや制約され、スペースも限られていることから、共同研究や中核施設の上手な共同利用は高く奨励される。グループディレクターが、いくらかの資金を使って、共同研究への刺激を生み出すことも可能だ。
現在スペースが限られてきているが、明らかにアルツハイマー病研究と分子精神医学研究はともに重要である。また、老化・精神疾患研究グループの2つの研究領域は互いに協力することが少ないということも明白である。長期的には、老化研究のチームと精神疾患研究のチームを分けて新しい二つのグループとすることを考慮してもよいかもしれない。
ヒト遺伝学とマイクロアレイ解析に関心があるならば、横浜のゲノムセンターとより強固な交流を持つことを勧める。グループ内では、現在1チームのみがこのセンターと共同研究を行っている。
4つの研究チームの臨床医学との交流が場あたり的なのは心配である。理研はヒト遺伝学やその他の仕事のために病院との交流の壁を低くするよう努めるべきである。
トランスジェニックマウスの行動表現型に関する高度な専門技術が不十分である。行動科学の専門知識を増やす努力がなされるべきである。
チームリーダーの口頭発表の質は大変高く、事前に提供されたレポートも大変有益であった。ラボ見学におけるポスターも大変評価するが、何人かの若い研究員は英語でのコミュニケーションが明らかに困難であった。我々は、若い研究者のために英語の訓練を強化することを推奨する。
上級研究員研究レビュー委員会の開催
 6月23日、24日の2日間、上級研究員の研究レビュー(評価)委員会が開催されました。委員会は、Prof. Eric Shooter(スタンフォード大学)を委員長とする12人の委員で構成され、7人の上級研究員について次期の5年も継続することを推奨しました。評価結果は以下の一般的な勧告を含んでいます。
上級研究員の研究計画に対して、利用可能なスペースの制約が、その成長と生産性を阻害する最大の要因となっている。ひとつの可能性として、特に上級研究員からチームリーダーへの移行期において、スペースを柔軟に割り当てる方策を考えてよい。現在の方針では、この時点でスペースが4倍になるようだが、これが適切な場合もある一方、もっと漸増的な方策もあり得よう。さらに、価値ある有限の資源を最大限活用するために、BSIのすべての研究チームについてスペースの割り当てを定期的に評価し直すことも有益かもしれない。
現在の方針では、上級研究員は5年任期であり、さらに5年の任期延長ができる。チームリーダーポストに空きが生ずると、そのポストを求める候補者との業績の比較によって、上級研究員がチームリーダーになる可能性が訪れる。これは、上級研究員の多くが、最大10年の任期の後、BSIの外にポストを探さなければならないことを意味している。特に日本での脳科学研究に対する資金が減っている現在、上級研究員に対してBSIを出た後の将来について適切な助言をすることが必要であろう。一方で、数に限度のあるチームリーダーポストをめぐる競争が熾烈になりすぎないように、上級研究員の総数を過度に増やさぬよう注意した方がいい。
実験動物のコストは時として、非常に大きな問題である。特にトランスジェニックマウスの使用者にとっては、これらのコストは、研究室の総年間研究費のかなりの額を占めてしまう。個別の事例によることではあるが、こうした場合の柔軟な追加財政支援方策を推奨する。
時として、研究室の立ち上げ費用はかなりの額になる。これらのコストは、優れた中核施設を利用できれば緩和されるが、特殊な装置が必要な場合には新設の研究室の年間予算を圧迫する。これらの事例にも追加の財政支援が行えるような柔軟な方策を推奨する。
2日間の訪問の全体は大変効果的ではあった。研究室の研究者ひとりひとりと過ごす時間はきわめて生産的である。したがって、今後のレビューでは、このためにもっと時間をさくことを提言する。加えて、研究者の公式の発表部分をもう少し短くし、質議応答の時間をもっと長くとれるようにすべきである。
第25回理化学研究所科学講演会のお知らせ
 今年の科学講演会は、「〜脳を知る・守る・創る・育む〜 脳科学総合研究センター」をテーマに以下の要領で開催します。是非ご来場くださいますようご案内申し上げます。
1)日時 : 平成15年10月30日(木)14:00−17:20
2)会場 : 東京国際フォーラム ホールC
東京都千代田区丸の内3-5-1
  最寄り駅 ● JR山手・京浜東北線 有楽町駅
「東京国際フォーラム口」徒歩1分
● 営団地下鉄有楽町線
有楽町駅「A4b」徒歩1分
3)入場料 : 無料
4)講演者 : 脳科学総合研究センター
● RIKEN-MIT脳科学研究センター長
利根川 進
「学習と記憶の機構」
● 特別顧問  伊藤 正男
「脳の設計図は果たして読めるのかー脳科学の夢」
● センター長 甘利 俊一
「21世紀の脳科学」
5)問合せ先: 理化学研究所 広報室  Tel.048-467-9954
http://www.riken.go.jp
e-mail:koho@postman.riken.go.jp

BACK NEXT

理研BSIニューストップ

理研BSIトップ
BACK
理化学研究所脳科学総合研究センター(理研BSI)
Copyright All Rights Reserved.