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理研が、老化や精神疾患に関する非常に重要な問題に取り組んでいることは、まことに喜ばしい。アルツハイマー病や精神 疾患の研究は、日本にとっても世界にとっても重要課題である。精神医学の領域では、病因に対する遺伝子レベル、分子レベルの研究手法は前向きなアプローチであり、日本の科学を精神疾患研究の最先端に位置付けるものである。 |
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老化及び精神疾患研究の領域に専門知識をもつグループディレクターを得るには、スペースが許すのであれば、現在のチームと相補的な重要分野で5番目の研究チームを追加し、年配のリーダーを見つけることであろう。 |
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アルツハイマー病研究の2チームどうし、精神疾患研究の2チームどうしの交流は期^待されるより少なかった。より強固な知的 連携が理想的だが、少なくとも、チップやバイオインフォマティクスの専門的知識のような技術を利用する際に協力することは重要であろう。特に予算がやや制約され、スペースも限られていることから、共同研究や中核施設の上手な共同利用は高く奨励される。グループディレクターが、いくらかの資金を使って、共同研究への刺激を生み出すことも可能だ。 |
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現在スペースが限られてきているが、明らかにアルツハイマー病研究と分子精神医学研究はともに重要である。また、老化・精神疾患研究グループの2つの研究領域は互いに協力することが少ないということも明白である。長期的には、老化研究のチームと精神疾患研究のチームを分けて新しい二つのグループとすることを考慮してもよいかもしれない。 |
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ヒト遺伝学とマイクロアレイ解析に関心があるならば、横浜のゲノムセンターとより強固な交流を持つことを勧める。グループ内では、現在1チームのみがこのセンターと共同研究を行っている。 |
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4つの研究チームの臨床医学との交流が場あたり的なのは心配である。理研はヒト遺伝学やその他の仕事のために病院との交流の壁を低くするよう努めるべきである。 |
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トランスジェニックマウスの行動表現型に関する高度な専門技術が不十分である。行動科学の専門知識を増やす努力がなされるべきである。 |
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チームリーダーの口頭発表の質は大変高く、事前に提供されたレポートも大変有益であった。ラボ見学におけるポスターも大変評価するが、何人かの若い研究員は英語でのコミュニケーションが明らかに困難であった。我々は、若い研究者のために英語の訓練を強化することを推奨する。 |