理化学研究所脳科学総合研究センター(理研BSI) Brain Science Institute



脳の発達には抑制性の刺激が不可欠であることを発見

 神経回路発達研究チーム
 神経回路発達研究チームのTakao. K. Henschチームリーダーは、マウスの脳の発達時期を司る要因が情報伝達の抑制性であることを初めて明らかにしました。
 マウス大脳皮質の視覚領(両眼からの情報を最初に受け取る領域)では、生後のある時期に限って視覚刺激により神経回路の再構成が起こりますが(この時期を臨界期という)、臨界期を過ぎた後はこの現象は起こりません。しかし今回、情報伝達の抑制性(情報伝達を弱めるように働く機能)を人工的に押さえたマウスでは、薬剤により抑制性の刺激を与えると、大人に成長した後でも視覚刺激による神経回路の発達が起こることが初めて確認されました。
 このことにより、神経回路の再構成には抑制性の刺激が不可欠であることが明らかとなりました。この発見は脳の構成原理解明に新たな知見を与えるとともに、脳の正常な発達手法や、再生・移植した脳組織を正常に機能させることへの可能性も期待されます。


可塑性に最適な抑制レベル
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Fagiolini, M., Hensch, T. K. Inhibitory threshold for critical-period activation in primary visual cortex Nature, 404, pp183-186, 9, March (2000)



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