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脳科学総合研究センターの役割と特徴 |
- 設立経緯
我が国は、1995年6月科学技術基本法を制定し、翌年には同法に基づく科学技術基本計画を策定し、科学技術を国の重要政策に位置づけるとともに、その計画の中で特に、生命科学などのいわゆる分布型メガサイエンスを積極的に推進することとしました。
これらを受けて、科学技術会議では脳科学委員会を設け、脳に関する研究開発についての長期的な考え方を示しました。そこでは、これまでの基礎研究の成果の蓄積により、脳に関する研究開発の長期的な達成点が見通せる段階となったことを踏まえ、一定の達成目標を設定し、その実現を目指して計画的に研究努力を集中するものとし、我が国の中核的研究機関の整備・充実等が図られることとされました。
その推進方策についてさらに政府部内で検討された結果、脳科学の推進と脳科学総合研究センター(BSI)の設立は1997年度の国の予算編成で重点事項とされ、その結果、1997年10月理化学研究所にBSIが設立されました。
- 役割と組織
BSIは、所長のもと、脳の基本的メカニズムの解明を目指した「脳を知る領域」、アルツハイマー病などの脳疾患の予防・治療を目指した「脳を守る領域」、脳型コンピューターなどの開発を目指した「脳を創る領域」の研究を三位一体となって推進します。それとともに、脳科学を飛躍的に進展させる新しい計測技術や生物材料の開発を目指した「先端技術開発センター(ATDC)」が併設されています。
BSIは、現在ATDCを含め8研究グループ23研究チームが活動しており、研究者は全体で200人に及んでいます。今後は早期に充実を図り、数年後には13研究グループ58研究チーム、研究員400名、技術スタッフ等約100名をあわせて約500名という組織づくりを計画しています。ライフサイエンス分野で、新たなモデルとなりうるよう、我が国ではこれまでに類を見ない充実した規模及び内容の研究機関を目指すとともに、総合研究センターとして産・学・官の連携の促進、関連分野の先端技術開発の推進、研究人材の育成、情報の中枢機能等の役割も担っていきます。
- 研究の質の充実と研究運営
BSIは、我が国の中核機関として規模の大きさはもとより、「質」の充実を図るため、以下のような特徴を有しています。
- 我が国では初めて、研究者は終身雇用ではなく全て契約雇用による任期制を採用し、給与は能力・業績等に応じて決定する年俸制としています。
- 各チームリーダークラスの研究責任者は、評価の結果により再任が可能となるローリングテニュア方式を採用し、厳正な能力評価により研究を発展させることができる新しいシステムを導入しています。
- 各研究チームでは理化学研究所が培ってきた研究における自由度・フレキシビリティと、総合研究機関として有している高い技術力や産学との有機的連携などの特徴を生かすとともに、国際的に十分競えるよう、チームリーダーに研究者の人事や予算の執行に最大限の裁量を持たせた研究運営をしています。
- BSIが真に国際的に開かれたものとするために、研究者は広く世界に募り、研究者の少なくとも3分の1程度は非日本人とすることとともに、重要な会議は英語を使用言語としています。
- 3つの公式の委員会を設置し、より高い見地からの指導・助言を得るとともに透明性の高い運営を行うよう努めています。
- 脳科学アドバイザリーカウンシル
所長の国際諮問委員会として内外のトップサイエンティスト等で構成され、研究運営のあり方、研究の計画や進捗などについて毎年総合的な評価をします。
- 研究レビュー委員会
各研究課題を5年目に外部の専門家により公正かつ客観的に評価します。結果が良好であればチームリーダーの任期は更新されます。委員長と過半数の委員は原則として外国人としています
- サーチ委員会
人事運営の公正、無差別を図るため、人材については公募を原則として、能力本位の研究者登用を行うものとし、サーチ委員会がこれにあたります。
- COEとして外部機関との連携の推進
米、仏、英、加等各国の主要な研究機関とシンポジウムやワークショップ、研究者交流を通じて協力を促進します。米国のMITとの間では、本年度から具体的な連携研究を進める計画です。また、日常的に海外の有力研究者を招いたセミナーシリーズや様々なフォーラムを開くとともに、今後は、理研主催の海外フォーラム、海外の若手研究者の招聘(サマースクールなど)を行う計画です。
また、「脳を知る領域」のみならず、より応用に近い「脳を守る領域」、「脳を創る領域」さらには、ATDCにおける研究を実施することから、産業界との人材交流や共同研究、技術移転等を積極的に推進する計画です。
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