理化学研究所脳科学総合研究センター(理研BSI) 理研BSIニュース No.10(2000年12月号



ニューロン機能研究グループ研究レビュー委員会の開催

BSAC報告書がCuenod委員長より伊藤所長へ手渡される
 6月12、13日の2日間にわたり、ニューロン機能研究グループ(森憲作グループディレクター 所属4チーム1995年にフロンティア研究システムの一部として発足)の研究レビュー(評価)委員会が開催されました。BSIのレビューは、研究グループ発足5年目に所属各チームのこれまでの研究の成果 や進捗状況、研究手法について国内外の当該分野の専門家が評価するもので、その結果 は当該チーム、所属グループの次期研究計画策定等に反映されます。  今回のレビュー委員会は Dr. Hildebrand(米アリゾナ大学教授)を委員長とする12人の委員によって構成されました。レビュー委員会の開催に先立ちメールレビュー(レビュー委員会を効率的に行うための予備評価)が行われ、レビュー委員会当日は各チームリーダーのプレゼンテーションおよび質疑応答、レビューアーによる研究室訪問がなされ、その後、評価報告書が作成されました。  今回の評価報告書の概要は以下のとおりです。
●総 論
・本グループはBSIで行われている研究領域のみならず脳研究全体の進展の基礎となる重要な研究テーマに取り組んでおり、次期も継続すべきである。
・グループ内各研究チームの研究方針、計画、手法、成果等は概ね良好であるが、次期研究計画の策定にあたっては、チーム構成の再編を行いグループの一層の発展を図ることを勧告する。
・新グループディレクター(森グループディレクターは2001年4月より東京大学へ転出)の選考は、候補者とグループの研究分野の統一性を図ることに加えて、候補者の識見、リーダーシップおよび協調性に重点を置き、早急に行うことを勧告する。
●その他
・研究者の勤務条件の向上やテニュア(終身雇用)ポジションの設置の検討、東京大学を中心とした大学との連携強化等を勧告する。
BSIサマープログラム2000を開催
研究評価委員会の様子

 去る7月4日〜15日までの2週間にわたり、国内外13ヵ国の機関から参加した若手研究者約50名(国籍19ヵ国)と、BSIからの講師11名を含む国内外の総勢25名の講師陣によって、第2回サマープログラム講義コースが開催されました。  今回は「How the Brain Works: Experimental and Theoretical Approaches」というテーマで行われ、シナプスからシステムに至る脳の働きの基本概念を、実験と理論両方の立場から、各参加者に提供することを主目的としました。  また、講義以外の時間を利用して、研究室訪問や参加者による研究成果発表と自己紹介の時間を取り入れ、参加者と講師、BSIメンバーとのインタラクションが十分に図れるように配慮しました。さらに講義コースと並行して、BSIの各研究チームに約2ヵ月間滞在し研究を行う実習コースが実施され、参加者のための技術習得や研究の進展に大きな成果 を挙げるとともに、BSIとの将来の共同研究のき っかけにもなりました。  欧米の一流大学や研究機関では、このようなサマープログラムは若手研究者の育成や研修の一環として一般 的に行われています 。しかし、日本ではまだ馴染みは薄く、その企画や
サマープログラムの様子
運営では多くの困難が伴いましたが、BSIの特徴を生かした独自のサマープログラムとなり、今後も継続的に行って世界の脳科学に貢献していきたいと考えています。  来年度は「Brain Dysfunction: Molecular and Cellular Bases(仮題)」と題して、6月26日から約2週間で開催する予定です。募集要項については、今年のサマープログラムの実施概要とともにBSIのホームページ(http://summer.brain.riken.go.jp)に掲載する予定ですので、ぜひご覧下さい。今後も多くの若手研究者からの申し込みがあることを願っています。
脳科学中央研究棟完成

完成した脳科学中央研究棟
 今年7月に脳科学中央研究棟第2期の建設工事が予定通 り完成しました。中央研究棟は第1期が昨年4月に完成しており、引き続いて建設された今回の2期工事の完了により、建物は全体で地下1階、地上9階建て、延床面 積は約27,000m2となりました。完成した2期棟へは新設のチームなどが徐々に引っ越しを進めています。また、脳科学の展示室や研究員のためのリフレッシュルームなどの準備も進められています。  BSI は、中央研究棟の完成により東研究棟、西研究棟の三棟となり、現在は37チーム約300人が研究に携わっています。
新グループ・新チームの発足


 BSIでは今年9月に老化・精神疾患研究グループに精神疾患動態研究チームが発足しました。また、同じく10月、守る領域の第4グループとして修復機構研究グループが発足し、細胞修復機構研究チームが設けられました。  さらに11月には、脳型情報システム研究グループに認知動力学研究チームが発足しました。  精神疾患動態研究チーム(加藤忠史チームリーダー)は、躁うつ病(双極性障害)、精神分裂病という重症で頻度も高い二大精神疾患の原因解明を目指し、培養細胞や培検脳組織などを用いた研究を行います。  守る領域の修復機構研究グループは神経細胞の修復手法の基礎となる神経幹細胞の分化や神経細胞死のメカニズムの解明に関する研究を行います。同グループに最初に発足した細胞修復機構研究チーム(三浦正幸チームリーダー)は、神経細胞死の意義とその分子機構に迫る研究を進めていきます。また、その成果 を発展させ神経系機能障害の修復や神経変性の原因解明と治療への応用に結びつく研究を展開していきます。  認知動力学研究チーム(Cees van Leeuwenチームリーダー)は、視覚認知の微少ダイナミクスとその連合記憶機能(例:画像・視覚的記憶)、及び認知・分類学習の研究を進めていきます。

RIKEN-MIT 脳科学研究センター運営委員会開催


 去る9月7日、BSI にて、RIKEN-MIT 脳科学研究センター第一回運営委員会が開催されました。MIT からは委員である理学部長のDr. Robert J. Silbey、利根川進センターディレクターの他、スポンサードプログラム室長の Ms. Julie Norrisが出席し、伊藤所長と連携研究の現状や今後の研究計画などについて話し合いが行われました。今回の委員会において、今後より一層連携研究を推進していくことが合意されました。


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