理化学研究所脳科学総合研究センター(理研BSI) 理研BSIニュース No.12(2001年5月号)



OECD・CERIハイレベルフォーラム開催される

 4月26、27の両日、「高齢期における脳の機構と学習」と題したフォーラムが、内外の専門家約40名の参加を得て、理化学研究所で開催されました。本フォーラムは、脳科学研究の進展により学習プロセス(認識、記憶、言語など)が徐々に解明されつつある状況を踏まえ、その教育への応用を念頭に、学習科学と脳科学研究、研究者と政策策定者の間の対話を促進することを目的として、OECD・CERI(教育研究革新センター)が実施しているフォーラムシリーズの一貫として行われたものです。
 冒頭、日本学術振興会の佐藤理事長、伊藤所長及びベングソンCERI事務局長から趣旨説明等が行われた後、脳の老化を左右する要因、また、脳の老化が能力に及ぼす影響等について、計6つのセッションが行われました。セッションの中では有馬朗人参議院議員よる我が国の教育の現状に関する講演も行われました。最後に、今回の会合で3回のシリーズは終了し、第2フェーズへの移行を視野に入れた将来展望について事務局から説明が行われました。
第4回BSACの開催
BSAC報告書がCuenod委員長より伊藤所長に手渡される

 4月4日から6日の3日間、第4回脳科学総合研究センターアドバイザリー・カウンシル(BSAC)が開催されました。BSACはMichel Cuenod委員長(前国際HFSP推進機構事務総長)以下20名の内外のトップサイエンティストで構成され、BSIの運営状況などを調査し、助言や提言を行います。今回の提言では設置から3年を経たBSIが今後も高い研究水準を維持し、健全に運営されるために優秀な人材の確保が重要であること、必要に応じて中間ミニ研究評価を実施できるシステムを設けること、BSI内外の研究チーム間の連携を推進し、学際的な研究や新たな分野の研究を推進すること、外国人スタッフの生活面 でのサポートを一元的に担当する部署を設けること、広報活動を推進すること、知的所有権や民間への技術移転に関する方針を明確化すること、等が提言されました。
理研一般 公開開催
 去る4月21日、恒例の一般 公開が開催されました。鈴木梅太郎ホールでは、BSIからは高島明彦チームリーダーが「脳の老化を科学のメスで切る」と題して、講演しました。脳科学総合研究センターの中央棟では各研究チームのそれぞれ趣向を凝らした体験コーナー、展示、脳型コンピューターによる模型ヘリコプターの自動フライト、イカの飼育槽など大人や子供でいつまでもにぎわいました。  BSIもまた昨年をうわまわる数の見学者で、家族連れも目立ちました。あちこちで研究者とのふれ合いが見られ、研究の現場を身近に感じてもらう絶好の機会となり、科学を十分に楽しんでいただいた一日でした。
世界脳週間開かれる
 今年も、日本各地の13か所で3月12日より18日まで、脳科学の持つ意義と、社会的な重要性をより知ってもらうため世界脳週間が開催されました。
 BSIでも3月17日、「Let's Try!〜さあ、でかけよう脳の世界へ」をサブテーマとし和光地区と武蔵野地区の高校生30余名を対象とし、1日理科教室が開催されました。プログラムは伊藤所長の挨拶に始まり、「心を見る―人の脳の活動を外から高い空間精度で測定する新しい方法」、「イカ・脳・愛」、「ロボットの頭脳=学習するコンピューター」の講演をそれぞれ研究者から聞きました。
 つづいてグループに分かれ、fMRI、イカ棟、脳型コンピューター搭載の2台の車の競争を見学しヘリコプターの飛行に目を奪われる頃には予定時間はとうに過ぎていました。その後、展示室Brain Boxを見学し、最後にグループごとに研究者を囲んでフリーディスカッションを行いました。そこでは活発な質問が飛び交い脳科学を広める貴重な場となったので、今後も積極的にこのような機会を設けて行きたいと考えております。

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