理化学研究所脳科学総合研究センター(理研BSI) 理研BSIニュース No.13(2001年8月号)



日本―カナダジョイントワークショップの開催

 去る6月4日、「科学分野における国際協力の意義」と題した国際ワークショップが理化学研究所大河内ホールにて開催されました。本ワークショップは、日本とカナダの研究者が共同して研究する場合、如何に良好な協力関係を構築することができるかについて、日本・カナダ双方の研究者が意見交換を行うもので、カナダ大使館が実施したワークショップシリーズの一環として行われたものです。
 ワークショップに先立ち、カナダマギール大学物理・作業セラピー学部副学部長のロバート・ダイクス氏による「行動時における脳の可塑性」と題した特別 講演が行われました。引き続き、BSI・カナダ双方のパネリスト各4名によるパネルディスカッションが行われました。パネルディスカッションでは、科学技術分野における国際協力のあり方について、各パネリストがそれぞれの立場から積極的に意見交換を行いました。最後に、会場からの問題提起を踏まえ、脳科学研究にける国際的な研究活動するための条件を展望されました。
ニューロインフォマティクスの国際協力

 脳は精緻な生物機構を利用して、この上に高度な情報処理を実現しています。その仕組みを理解するには、生物科学と情報科学の統合が有効です。さらに、実験データを共有し、解析のツールやモデルを相互に利用するために、脳のデータベースを世界的に共有することが展望されています。
 これは、国際協力によるメガサイエンスのひとつでもあります。OECD(経済協力開発機構)では、グローバルサイエンスフォーラムのひとつとして、ニューロインフォマティクスのワーキンググループを作り、国際協力をどのように進めていくかを議論しています。去る5月に、BSIをホストとしてその委員会が日本で開催されました。
 ここでは世界14ヶ国16名の代表が集まり、ニューロインフォマティスのあり方、国際協力による脳のデータベースの構築など、活発な議論が交わされました。BSIもこの問題に積極的にかかわっていく方針です。
BSIサマ−プログラム2001の開催
 6月28日より7月6日まで、世界20ヶ国から43名の若手研究者が参加して、サマープログラムのレクチャーコ−スが開催されました。今年のテーマは「Brain Dysfunctions : Molecular and Cellular Bases」で、神経疾患、精神疾患の発症メカニズムを分子、細胞、システムのさまざまなレベルで理解するとともに、神経幹細胞などの疾患治療の新しい考え方について学ぶことを目的としました。BSIからの講師2人を含む国内外19人の講師の講義の後には、参加者から多数の質問が出て、活発にディスカッションが行われました。また、講義の時間以外は研究室の訪問、ポスターセッションによる参加者の研究内容の紹介などを通 じて、講師陣、BSIメンバーとのインタラクションが十分に図れるように配慮しました。
 レクチャーコースと並んで、BSIの各研究チ−ムに約2ヶ月間滞在して研究するインターンシップコースも実施され、参加者は連日研究、技術取得に励み、研鑽を重ねています。
 BSIのサマープログラムは今年で3回目を迎えました。少しずつ今までの成果が現れ始めておりますが、今後も様々な工夫をこらし、内容の充実した独自のプログラムを作り上げて、世界の脳科学の発展に貢献していきたいと考えております。
 来年度のサマープログラムについては現在企画中ですが、実施概要、募集要項はBSIのホ−ムペ−ジ(http://summer.brain.riken.go.jp/)に掲載する予定ですので、ぜひご覧ください。

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