理研BSIニュース No.25(2004年8月号)

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トピックス


ユニットの発足・グループ名の改称

脳を育む領域の臨界期機構研究グループに2番目の研究ユニットとして橋本研究ユニット(橋本光広ユニットリーダー、2004年6月発足)、3番目として下郡研究ユニット(下郡智美ユニットリーダー、2004年8月発足)がそれぞれ発足しました。橋本研究ユニットでは、小脳のモジュール構造(縦縞状区画化)の細胞・分子機構の解明を目指し、下郡研究ユニットでは、大脳の入力元となる視床核の発生要因の解明についての研究を実施します。


また、岡本仁グループディレクターの就任に伴い、2004年8月に修復機構研究グループの名称が神経分化修復機構研究グループに改称されました。



第6回BSACの開催

2004年4月12日から14日の3日間、第6回脳科学総合研究センターアドバイザリー・カウンシル(BSAC)が開催されました。BSACはZach Hall委員長以下18名の内外のトップサイエンティストで構成され、BSIの運営状況などを調査し、助言や提言を行います。今回は、設立から6年を経て大半が新規の委員に交代し、第2期目に入ったBSIの評価を受けました。


BSACの今回の報告書においては、BSIの活動の質、特に人材の質と、若手や女性のリーダーへ登用が高く評価されています。また、若手研究者の独立を保障するユニットリーダーの設置も高く評価されています。さらに、 1.今後発展させる分野についての優先順位の設定が重要であり、そのために明確な将来ビジョンの策定が重要であるという勧告、 2.げっ歯類での遺伝子操作による行動の研究分野と、行動を電気生理学的現象として調べるシステム神経科学分野を結びつける研究を推進すること、大脳皮質の局所神経回路の計算機能を明らかにするための、スライス標本におけるパッチ電極法による複数細胞からの同時記録の研究など、脳科学を総合的に推進していくこと、 3.現在兼任となっているグループディレクターについては新規のグループディレクターの登用が必要、 4.BSI内で共同研究を推進支援する資金の確保、共同研究への姿勢を評価基準に取り入れること、グループ内外にまたがるジャーナルクラブの開催など、チーム間のコミュニケーションと共同研究を積極的に促進すること、 5.研究員を育成する施策を講ずること、すなわち、研究員が研究室内に隔離されてしまわないための対策、神経科学各分野の短期間の学習コースの設置、サイエンスライターの雇用など、 6.大学院学生の受け入れの促進・研修プログラムの設置の検討、 7.動物施設について、現在の利用状況とその効率性およびニーズの検証を踏まえた将来計画の作成、 8.次回以降のBSACの進め方、 9.各領域毎のBSIの活動についての所見、などが述べられています。



RIKEN-MIT脳科学研究センター リトリート

利根川博士と今回参加したBSIのメンバー

2004年6月7日~9日の3日間にわたり、米国ボストンのマサチューセッツ工科大学(MIT)Picower Center for Learning and Memory(PCLM:センター長 利根川進博士)主催のリトリートがボストンからドライブで約2時間の海岸線の美しいKennebunkport (メイン州)において開催されました。BSIからも、6名の研究者が参加し、プレゼンテーションやディスカッションを通してMITの研究員、大学生らと交流を持ち、親交を深める良い機会となりました。


神経回路メカニズム研究グループのナイアル・マーフィーユニットリーダーは、「このリトリートに参加することは、私にとって大きな経験となりました。特に私自身が記憶と学習にさらに深い関心を抱くようになったからです。私がリトリートで学んだことは、私の研究にも大きなインパクトを与えるでしょうし、またBSIと理研-MITの研究室間の協力関係をさらに強化することにも役立つと思います」と語りました。


基調演説では、ブランディス大学のジョン・リスマン教授は記憶におけるシナプスの役割についての理解に対するこれまでの発展の経緯を振り返り、まだ相違点の残っている分野に光を当てました。BSIの精神疾患動態研究チームの加藤忠史TLは、双極性障害に関する自身の最近の研究について述べました。


BSIの研究者は、理研-MIT脳科学研究センターの利根川進センター長の研究室はじめ、MITの各研究室、また、学習と記憶にかかわる遺伝子を探求しているエリー・ネディヴィ博士のラボも訪問しました。



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