私は、日本に渡ってほぼ20年、毎年訪れる日本の暑い夏の日々を喜んで過ごしています。暑い夏の日々は青空とともに、まるで故郷の都市、インドのタミール・ナドゥにいるような、郷愁に満ちた気持ちをいつも私に与えてくれます。タミール・ナドゥでは、夏の盛りには気温が40度に達し、出る汗がたちまちのうちに乾いてしまいますが、これとは対照的に日本の夏は湿度が高く、朝から晩まで一日中、汗びっしょりで過ごしている気分になるほどです。そのため、残念なことに、私は暑さを感じることが好きであるにもかかわらず、日本ではエアコンの涼気を求めることになります。また、「日出づる国」である日本では、早くから太陽が昇るため、気温も朝早くから上昇し始めます。
日本と私の国の都市とのもうひとつの明らかな違いは水資源でしょう。日本でも水不足は無視できない問題であることは言うまでもありませんが、それでも、私は日本で深刻な水不足に遭遇したことはありません。私が子供の頃には、水が湧き出るのを夜の間、ずっと待たなければならない時がありました。朝になると湧き出た水をバケツに一杯か二杯汲み、そしてまた、丸一日待つのです。日本では、水の存在が当たり前のこととして捉えられており、時折、水に恵まれている日本という国はなんと恵まれているのだろうと思うことがあります。
もう一つの大きな違いは、日本では、夏こそが本当の“お祭り気分”をつくり出しているということです。小さな地域社会あるいはグループ、そして、このBSIでさえ、それぞれの夏祭りや集まりがあります。ですから、これらの行事が毎年開催されているにもかかわらず、そして、この一大行事に向けて準備を行うすべてのグループが、それを当たり前のこととして受け入れているにもかかわらず、やはり皆があらためて夏がやって来るのを本当に楽しみにしていることが伝わってくるのです。日本の夏祭りでは、地域社会に属している人々が浴衣を着て集い、盆踊りや花火に興じます。これは本当に日本独特のことであり、インドでは見られない光景です。この集いは、催しを計画するという経験を通じて、地域のネットワークを形成するという機会を提供するだけではなく、見ず知らずの人たちが交流を図る道を開くものでもあります。私は外国人ですが、このような集まりに参加するときは、いつも盆踊りの仲間として加わっていますし、よその踊りの輪にも参加して欲しいと頼まれるほどです。蒸し暑い気候の中で聞こえる太鼓の拍子、そして、変わらぬ旋律を奏でる笛の音が、人々の心を日々の活動から解放し、心の底から楽しい気持ちにさせてくれます。今年は、娘の夏祭りを見るために、日本の幼稚園の夏祭り行事を訪れる機会がありました。もちろん、すべての子供たちがかわいらしい浴衣を着ていました。そして、いつもの太鼓の拍子もありました。しかし、何よりも驚いたのは、ほとんどの園児が輪になって、盆踊りを踊っていたことです。先生方の指導は見事なものでした。そして、三歳という幼い時期から教えるということが、心の奥深くに伝統を植え付け、大切な日本の文化を守ることにつながるのだと思います。
この夏も、すべての人々に幸せな夏祭りが訪れますように。
