松本 元先生を偲んで The only one
「‘the best one’ではなく‘the only one’を目指そう。」故松本 元先生が我々に繰り返し語った熱いメッセージの1つであり、元先生らしい言葉だと思う。‘the best one’は既存の価値観のもとでの優劣で十分成り立つ存在であるが、‘the only one’となるには新しい価値観を創出しなければならない。元先生は我々にそして御自身に「より創造的であれ」と言っていたのであろう。そして、私が見る限り先生は‘the only one’に限りなく近い存在であった。
このことは元先生の研究の在り方に色濃く現れている。先生は脳を創ることを考えたときに、単に脳のように動く物を創ろうとせず、まさに生きた脳を創ろうとされていた。そのために、まず、生きるということを定式化し、それと脳との関係を洞察し、さらにはこころの問題に近接することを考えられていたように思える。我々を取り巻く非線型性の強い実世界を処理するには、生きるためという拘束条件でもないととても出来そうにないということは容易に想像できるのであるが、生きるということを正面して考えることは辛いが故に等閑にされやすい議論である。元先生は御自身が本質と考えられた事柄に関しては、決して怯むことなく考え続けられた、まさに‘the only one’であった。今は、元先生が示された勇気・純真・優しさに一歩でも近づきたいと思う。 |
脳型デバイス・ブレインウエイ研究グループ 脳創成表現研究チーム 木村 哲也 記 |
松本 元脳型デバイス・ブレインウエイ研究グループディレクターは、去る、3月9日にお亡くなりになられました。 BSI職員一同、心よりご冥福をお祈り申し上げます。 |