神経回路ダイナミクス研究チームのトーマス クヌッフェル チームリーダーらは、小脳の平行線維とプルキンエ細胞との神経伝達において、代謝型グルタミン酸受容体の特異的な分布が、重要な役割を果たしていることを明らかにしました。
小脳では、平行線維終末から放出されるグルタミン酸が、プルキンエ細胞の樹状突起部に存在する受容体を活性化します。これらの受容体には、イオン作動性受容体だけでなくG-蛋白質と共役して、細胞内情報伝達システムを調節する代謝型受容体も含まれます。
イムノゴールド法を用いた電子顕微鏡による解析により、プルキンエ細胞に存在するこれらのグルタミン酸受容体の細胞レベル、シナプスレベルでの分布が明らかになりました。イオン作動性受容体はシナプス後膜に局在していますが、代謝型受容体はそのサブタイプや用いる標本によりますが、シナプス前膜や後膜にも分布していることがわかりました。
さらに、スペインバスク国立大学の P. Grandes 教授との共同研究により、電子顕微鏡を用いたプレベッディングイムノゴールド法を用いて、グループ I 代謝型受容体 1b やグループ III 代謝型受容体4a が小脳分子層に局在していることから、これらの受容体が小脳平行線維とプルキンエ細胞間の神経伝達に、重要な役割を果たしていることが示唆されました。
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