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図3 シナプスの微細構造(電子顕微鏡写真)
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シナプス前構造で特徴的なのは球状の小胞体で、この中に神経伝達物質が蓄積され神経線維を伝わってきた電気信号に応じてシナプス間隙へと放出されます。シナプス後構造には黒く密度の高い部分がありますが、これはシナプス後肥厚部(PSD:post
synaptic density)と呼ばれるもので、これが神経伝達物質の情報を受け取る中心的な構造体です。この構造体の中には、神経伝達物質と結合する受容体、その受容体の働きを制御する酵素、受容体からの信号を細胞内部へと伝える情報伝達分子、あるいはシナプスの構造を維持する接着分子などが存在しています。このほかにも様々な分子が含まれ、およそ30種類以上の分子が集まっていると考えられます。これまでは、この構造体の中でどのような分子がどのような機能を持っているのかはっきりしていなかったのですが、最近ようやくこの構造体がどのように形成され維持されているのかが明らかになりつつあり、注目されています。
神経伝達物質にはアミノ酸やペプチドなど様々な種類があり、それぞれの伝達物質に特異的な受容体が存在します。また、例えば脳神経系における主要な神経伝達物質にグルタミン酸がありますが、このグルタミン酸のみに対する受容体にも多数の種類があり、グルタミン酸との結合に対して異なった反応を示します。これらの受容体の中には、イオンを透過させるチャンネルの機能を持ったものがあり、伝達物質による情報を直接に電気的信号に変換しています。
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