理研BSIニュース No.31(2006年3月号)

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トピックス


第8回RIKEN BSI RETREATを開催

2005年10月31日~11月2日の3日間、栃木県の鬼怒川グリーンパレスで、第8回RIKEN BSI RETREATが開催されました。


リトリートでは、お互いが行っている研究について、日頃の研究室の枠を取り払い、隣の研究室、異なった分野の研究者同士が打ち解けた議論や、建設的な批判をし合う絶好の機会が提供されます。今回で8回目を迎えたリトリートには、RIKEN-MIT脳科学研究センターからの参加者を含む約350名の研究者が参加し、約270のポスター発表が行われました。期間中は熱心な質疑応答が繰り広げられました。研究分野を越えて、活発な議論が展開され、お互いの研究に刺激を与えました。


また、毎年交流を行っているカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)からは、神経科学部のJohn Rubenstein教授と、MIT Picower InstituteのMark Bear教授が特別講演し、大変好評を博しました。


今後も分野を越えて相互理解を深め、知的交流を促進することでBSIの特徴を生かした、脳科学の総合的な研究の発展に貢献し、多くの成果を生み出せるようにしていきたいと考えています。



「日独計算論的神経科学シンポジウム」を開催

2005年度は「日本におけるドイツ年」として、各地でさまざまな行事が催されています。BSIでも2006年2月2日から4日まで、「日独計算論的神経科学シンポジウム」が開催されました。


日本の各研究機関からの参加者に、ドイツからの約30名の参加者、また両国以外からの5名の招待講演者を加え、計算論的神経科学の広範な話題に対する26件の口頭発表と53件のポスター発表が行われ、議論も盛り上がり、盛況な会議でした。


招待講演では、鳥類の歌学習に関わる時系列生成のモデル(S.Seung、MIT)、スパイク時系列の揺らぎと神経情報表現(A.Destxehe、 CNRS)、スパイクニューロンの回路ダイナミクスの巧妙な理論的解析(N.Brunel、CNRS)、生物学的な神経回路モデルで視覚認知の注意過程を説明する試み(X-J. Wang, Brandeis)、サル運動野の神経活動でロボットアームを制御するBMI(Brain Machine Interface)の最先端の試み(A. Schwartz、Pittsburgh)といった発表がなされ、計算論の研究者が現在取り組んでいる問題の相当の部分が、3日間の会議に凝縮されていました。


閉会後、多くの参加者からは会議に対する高い評価が寄せられました。これを機にドイツと日本の研究者が定期的に集い、計算論的神経科学を巡る交流を深めることが期待されています。



小坂文部科学大臣のBSIご視察

2006年2月27日、小坂憲次文部科学大臣は理化学研究所ご視察の一環としてBSIを訪問されました。最初に、言語発達研究チームの堀江亮太研究員らから、乳幼児に音声刺激を聞いてもらい、その反応を調べる音声知覚実験や、読みの発達を解析する眼球運動測定実験について説明しました。大臣は自ら被験者になって体験され、熱のこもった質疑応答がなされました。


また、津本忠治ユニットリーダーと加藤忠史グループディレクターから、「子どもの情動と社会性の発達」に関する脳科学の取り組みについてプレゼンテーションを行いました。大臣からは、ぜひとも教育関係者との連携を図りつつ研究を進めて欲しいとの励ましの言葉をいただくとともに、大いなる期待が寄せられました。  今回のご視察は、小坂大臣の脳科学研究への多大な関心と将来への大きな期待が感じられ、終始和やかな雰囲気のうちに終わりました。



INCF日本ノード設立記念講演会

ニューロインフォマティクスは、発展の著しい情報通信技術を効果的に活用することによって、脳科学に関する電子情報や関連するデータを共有・統合し、脳のシステム的理解を推進するための情報基盤です。2005年7月には、その国際的な連携を図るべくニューロインフォマティクス国際統合機構(INCF:International Neuroinformatics Coordinating Facility)が発足しました。我が国においては、BSIがその一端を担うべく神経情報基盤センター(NIJC:Neuroinformatics Japan Center)の設置が2005年4月に認められ、同国際機構の日本ノード立ち上げの準備を進めてきました。


その設立を記念して、2006年2月27日、如水会館において講演会「ニューロインフォマティクス:IT時代の脳科学展開」を開催しました。川人光男(ATR)、合原一幸(東大)、臼井支朗(BSI)氏による熱意あふれる講演に続き、東倉洋一(NII)、銅谷賢治(沖縄科技大院)氏を加え、220人余の参加者とともに活発なパネル討論が、予定時間を越えて行われました。講演会の概要は以下のホームページをご覧下さい。
http://www.neuroinf.jp/modules/jnode/index.php/lecture.html



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