理研BSIニュース No.33(2006年9月号)

言語切替:日本語 » English

トピックス


脳科学総合研究センター(BSI)―発生・再生科学総合研究センター(CDB)―中央研究所(DRI)―免疫・アレルギー科学総合研究センター(RCAI)Joint Retreat 2006の開催

2006年5月10日、11日の両日、熱海ニューフジヤホテルにて、神戸・発生再生科学総合研究センター(CDB)、横浜・免疫・アレルギー科学総合研究センター(RCAI)、和光・中央研究所(DRI)、脳科学総合研究センター(BSI)の4センターによるJoint Retreat 2006を開催しました。一昨年までは、CDB・BSIのジョイントフォーラムとして4回、神戸と和光とで交互に開催してきましたが、昨年よりRCAIが加わり、開催場所を神戸、和光、横浜の中間ぐらいに位置する伊豆熱川に移し、リトリートという形式で初めて開催しました。今年は、交通の便を考慮し、熱海に場所を移して開催されました。


理研内における連携強化、研究協力が叫ばれる中、センター・研究所を越えた学術的・人的交流を深め、今後の研究発展に資することを目的とし、4つのセンターから90名が参加、活発な議論が行われ、たくさんの質疑応答がなされました。


Joint Retreatは生物系のセンターが中心となっていますが、生物学以外の分野から特別講演として緑川レーザー物理工学研究室の緑川克美主任研究員が「Extreme Photonics」というテーマで講演し、反響を呼びました。


2年後に予定されるJoint Retreatでは、さらに、研究発展、理研内における連携強化、研究協力、活発な人材の移動に資するためのテーマやプログラムなどを工夫し、幅広い分野からの参加を呼びかけることで、センターや研究所の垣根を越えた理研内の協力関係がますます深まっていくものと思われます。



トーステン・ヴィーゼル博士がBSIを訪問

5月30日、神経科学の第一人者であるトーステン・ヴィーゼル博士がBSIを公式訪問しました。ヴィーゼル博士はヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP)の事務局長として、日本が多額の資金を提供している国際研究助成計画を実施しています。


ヴィーゼル博士は講演で、BSIの研究者に対してよりクリエイティブでリスクをいとわないチャレンジを行うことを要請しました。


講演後、ヴィーゼル博士はBSIの研究者からのHFSPに関する質問に答えました。会場となったセミナールームは満員で熱のこもった議論が交わされました。ヴィーゼル博士は資金提供に関する質問に対し、「『便乗的』な科学が多すぎます。科学者とは、科学を行うために必要な道具をつまずきながらも探し、見つけ出すことのできる人々であり、科学とは私にとっては新しいアイデアを生み出すことで、新しいアイデアには新しい道具が必要です」と答えました。


ノーベル賞受賞者であるヴィーゼル博士はまた、あるプロジェクトの運命は成功したか失敗したかで決まるものではないと考えており、「ばかげたと思われるアイデアでも、時には有効なことがあるので励ますべきです」と述べました。


最後にヴィーゼル博士は、BSIが世界のより多くの科学者を惹きつけるため、その地位を高めるのに重要なのは「情報へのアクセス」であり、そのためには、

  1. ウェブサイトを常に最新の状態にしておくこと
  2. 英語サイトは単純にすること
  3. 一般的に使用される分かりやすい検索用語を使用し、研究者の名前などをはっきり明示すること、
などの貴重な助言をしました。


HFSPホームページ:http://jhfsp.jsf.or.jp



RIKEN BSIサマープログラム2006

今年も6月末から約2ヵ月にわたり、『RIKEN BSIサマープログラム2006』が開催されました。サマープログラムはレクチャーコースとインターンシップコースで構成され、毎年、世界各国の多数の大学、研究所から応募、参加があり、8回目の開催となる今回も世界23ヵ国から45名が参加しました。参加者は若手研究者や、研究者の卵が中心です。


今回のレクチャーコースは、“Dynamical states in the Brain”というテーマを掲げ、講師には国内外の著名な方々をお招きしました。2週間にわたるレクチャーでは、基礎から最先端の研究に至るまでの多岐にわたる内容が盛り込まれ、サマープログラム参加者やBSIの研究者、講師との間で活発なディスカッションが行われました。


一方、インターンシップコースの参加者は、約2ヵ月間BSIのホスト研究室で実際に研究を行い、連日、実験技術や知識の修得などに切磋琢磨していました。コースの最後には、BSI滞在中に行った研究成果のポスター発表会があり、インターンシップの参加者同士やBSIの研究者との議論に花を咲かせていました。


この他、サマープログラム期間中に行われたポスターセッションや研究室訪問などを通して、参加者とBSIのメンバーの研究交流が促進されました。


BSIでは今後も引き続きサマープログラムを開催し、参加者にBSIの研究者や世界各国の研究者とのインタラクションの機会を提供することによって、将来の世界の脳科学の発展の一翼を担う研究者を育成すると同時に、BSIの質的向上を図ることを通して、世界の脳科学に貢献していきたいと思います。


来年度のサマープログラムは、“Mystery and Mission”というテーマで現在企画中です。講師陣、実施概要、募集要領等はBSIのホームページ(http://www.brain.riken.jp/summer.html)に掲載する予定です。ぜひご覧ください。


理研BSIニュース No. 33 (2006年9月号)の記事



発行元

  • 理化学研究所
    脳科学総合研究センター
    脳科学研究推進部
  • 〒351-0198
    埼玉県和光市広沢2番1号
    TEL:048-462-1111(代表)
    FAX:048-462-4914
    Email: bsi@riken.jp
  • 掲載の記事・写真及び画像等の無断転載を禁じます。
    すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。