CREST-理研ワークショップ“Real-Time Computing and Neural Dynamics in the Brain”を開催
2005年3月2~4日、ワークショップ “Real-Time Computing and Neural Dynamics in the Brain”が開催されました。これは、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(CREST)“脳を創る領域”と、理研BSIとの共同開催によるものです。第一線の実験-理論研究者により、神経ダイナミクスから脳のリアルタイムの働きを、計算論的に解明しようとする研究発表が行われました。内外の招待講演18件、若手講演7件と、さらに開催期間中は10件のポスター発表がありました。招待講演は甘利俊一センター長のご挨拶で始まり、伊藤正男特別顧問の“How the brain works?”の問い掛けにより終了しました。海外からはA. Grace ピッツバーグ大教授など著名教授から、中堅のE.M. Izhikevichサンジエゴ神経科学研究所教授、若手のJD Berkeミシガン大学助教授など、さまざまな年代から海馬、大脳基底核などの挙動と数理モデルについて、熱心な発表と議論が行われました。最終日は、季節外れの積雪になったにもかかわらず、最後まで活発な意見交換が行われ、100名を超える参加者で会場の大河内ホールは活発な議論の場となりました。
プログラムなどは、http://www.dei.brain.riken.jp/crest_riken_ws_j.htmlで参照できます。
『BSI サマープログラム2005』を開催
2005年6月末から約2カ月にわたり、『BSIサマープログラム2005』が開催されました。サマープログラムはレクチャーコースとインターンシップコースで構成され、毎年、世界各国の多数の大学、研究所から応募、参加があり、7回目の開催となる今回も世界19カ国から44名が参加しました。参加者は若手研究者や、研究者の卵が中心です。
今回のレクチャーコースのテーマは、“Neurobiology of Mental Disorders and the Mind”で、講師には国内外の著名な方々をお招きしました。 2週間にわたるレクチャーでは、『精神疾患研究、および精神疾患研究を通して心の神経生物学に迫る領域』について、基礎から最先端の研究に至るまでの多岐にわたる内容が盛り込まれ、サマープログラム参加者やBSIの研究者、講師との間で活発なディスカッションが行われました。
一方、インターンシップコースの参加者は、約2カ月間BSIのホスト研究室で実際に研究を行い、連日、実験技術や知識の修得などに切磋琢磨していました。コースの最後には、BSI滞在中に行った研究成果のポスター発表会があり、インターンシップの参加者同士やBSIの研究者との議論に花を咲かせていました。
この他、ポスターセッションや研究室訪問などを通して、参加者とBSIのメンバーの研究交流が促進されました。
BSIでは今後も引き続きサマープログラムを開催し、参加者にBSIの研究者や世界各国の研究者とのインタラクションの機会を提供することによって、将来の世界の脳科学の発展の一翼を担う研究者を育成すると同時に、BSIの質的向上を図ることを通して、世界の脳科学に貢献していきたいと思います。
来年度のサマープログラムについては、BSIのホームページ(http://www.brain.riken.jp/summer.html)に掲載されています。ぜひご覧ください。
オーストラリア国立神経科学施設およびニューキャッスル大学と包括協定を締結
BSIは、脳科学分野における研究協力を推進するため、2005年9月にオーストラリア国立神経科学施設(National Neuroscience Facility)と、および同年10月に英国ニューキャッスル大学(University of Newcastle upon Tyne)と、包括協定をそれぞれ締結しました。人的交流や合同でセミナーを開催するとともに、共同研究を推し進めていく予定です。
Takao K. Henschグループディレクターに北米神経学会より若手科学者賞
2005年11月14日、臨界期機構研究グループのTakao K. Henschグループディレクターは、脳神経科学分野で最も権威のある学会の一つである、北米神経学会から若手科学者賞を贈られました。モデル動物を用いて臨界期が引き起こされるメカニズムを、世界で初めて解明したことによるものです。同賞は、学位取得後10年以内に脳神経科学分野において、顕著な成果を挙げた若手研究者に贈られるものであり、米国外の研究機関に所属する研究者が受賞するのは初めてです。
松田科学技術政策担当大臣のBSIご視察
2005年11月22日、松田岩夫科学技術政策担当大臣は、理研ご視察の一環としてBSIを訪問されました。甘利俊一センター長からのBSI概要説明の後、臨界期機構研究グループのTakao K. Henschグループディレクターより、脳の臨界期に関する最近の研究成果について紹介されました。今回のご視察では、それぞれ熱のこもった質疑応答がなされ、松田科学技術政策担当大臣の脳科学研究に対する大きな興味と今後への期待が見られました。