理研BSIニュース No.32(2006年6月号)

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トピックス


第7回BSAC

2006年1月24日から26日の3日間、第7回脳科学総合研究センターアドバイザリー・カウンシル(BSAC)が開催されました。 BSACのメンバーは世界各国の著名な科学者によって構成され、BSIの活動を評価し、将来の展開に関する助言を行います。タイトなスケジュールにもかかわらず、BSACのメンバーは、BSIの研究者や数名の理研の運営管理者とも会合し、今後のBSIの運営ための具体的な提案を行いました。


BSACでは、BSIにおける研究範囲の広がり、実験設備、すべての研究レベルにおける若手研究者たちの積極的な研究姿勢が高く評価され、特に、若いグループディレクターの努力こそがBSI前進の原動力となっていると述べました。また、脳科学およびBSIに対する日本政府の強力な投資が引き続き行われるようにとの提言がありました。とりわけ、BSIのリサーチリソースセンターと先端技術開発グループは、BSIの研究目的に対する戦略的な貢献という面で称賛を受けました。


具体的には、以下のような提言がなされました。


●内部資金配分の不透明性を低減するために、以下の方策を採る。  
  • センター長資金の配分の透明性を高める。
  • 個人およびグループとして、外部資金の確保に求める。
  • 産業界との提携を促進する。

次回のBSACでは、研究評価のプロセスに関するより詳細な説明を含める。

●BSIの研究者については、「BSI哲学」の振興を図るために、現行の雇用方針を維持する。ただし、その方針を安定的に遂行するためのシステムが欠如しているという指摘がなされ、以下の提案を示す。
  • 研究者の異動をシステムの一部として組み込む。
  • 異動する研究者をサポートするための計画および指導教育システムを構築する。

●BSIにおいて恒久的な地位を設ける利点に関しては、意見が分かれたが、以下のような提案を示す。
  • 科学的な優秀性とリーダーシップを第一の基準とする。
  • 恒久的な地位の数を全チームリーダーの20%以下に制限する。
  • 時間をかけて、徐々に地位を補充する。
  • 在位期間に年齢制限を設ける。

●外国人若年研究者のカップルを対象として、チームリーダーやユニットリーダーの地位に就ける。

●BSIに最適なユニットの数を決定し、ユニットリーダーの昇進を支援するサポート・システムを構築する。

●若年の研究者や学生の訓練を行うため、以下のような方策を導入する。
  • 若年の研究者が教える機会を設ける。
  • 年少の研究者に対して、機会や資金を提供し、小規模なワークショップやイベントを開催できるようにサポートすることによって、BSIのイベントに参加したり、リーダーシップを取ることを奨励する。
  • 短期および中期の海外研究のために、海外渡航支援プログラムを設ける。

●予算、スタッフ配属、研究課題への組織的な挑戦などをふまえて、BSACは人的資源を最適化し、BSIの任務および目的との整合を図るための戦略的な計画を作り上げることを強く推奨する。

●各レベルの研究者が戦略計画に関与、参加できるようにする。


第5回Picower-RIKENシンポジウム

2006年3月下旬の3日間、マサチューセッツ州ボストンでマサチューセッツ工科大学(MIT)とBSIの共同主催による第5回シンポジウムが開かれ、BSIからは6名の研究者が参加しました。


シンポジウムにおける意見交換は、神経科学が革命的な時代への境目にさしかかっている印象を受けるものでした。


シンポジウムでは、象徴概念発達研究チームの入來篤史チームリーダーが、「Schitzer博士、Reid博士、そしてJasanoff博士によって発表された新しい手法は、データに基づいて夢の中でのみ想像することができた神経系の事象を、いかに可視化するかを説明したもので、抽象的にしか理解できなかった脳内のみで発生する内部事象を、具体的かつ共有可能な画像として見せるようにしたものです」と述べました。


また、甘利俊一BSIセンター長は、生きている神経細胞が動いているところを目の当たりにするというのは極めて驚くべき体験で、神経細胞を研究するためのテクノロジーがどこまで進化しているのかを確認できたのは素晴らしいことであると述べ、視覚化の作業の大部分は東京大学との共同研究の一部であると述べたClay Reid氏の話に言及しました。


さらに、甘利センター長は、入來チームリーダーの、ゲッシ類も道具を使用するように訓練できるか、との懐疑的な質問に対する応答は、脳の驚異に関する衝撃的なデモンストレーションだったと感想を述べました。



脳科学に関する早稲田大学公開講座

この春、BSIのチームリーダーなど10人が、早稲田大学エクステンションセンターにおいて10回に渡って実施される「オープンカレッジ講座」の講師を務めます。 “脳の謎に迫る”と題されたこのコースでは、受講者は脳の仕組み、発達、疾患などについて広い視野から総合的に学ぶことができます。 BSIにとっては、大学と協力して開く公開講座としては初めてとなるこのコースが、一般の人々に脳科学に対する興味を持っていただくとともに、脳科学に対する理解をより深めるものとなることが期待されています。



理研一般公開

2006年4月22日、理研和光研究所では一般公開を行いました。好天に恵まれておよそ6,700人の見学者が訪れました。


BSIでは脳科学中央研究棟などにおいて、研究者が準備したポスターやデモンストレーションを見た人々の間で熱心な質疑応答がなされ、市民の方が脳科学に触れる有意義な一日が過ごされました。



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