BSI新組織等の発足
発足して7年を数えるBSIの組織が新たに変わりました。
新制度としては、ユニット制度が新設され、従来の上級研究員がユニットリーダー(UL)に変更となりました。新組織としては、神経回路メカニズム研究グループに運動学習制御研究チーム(永雄総一チームリーダー)、平瀬研究ユニット(平瀬肇ユニットリーダー)、Semyanov研究ユニット(Alexey Semyanovユニットリーダー)が、発生発達研究グループに比較神経発生研究チーム(有賀純チームリーダー)が、高次脳機能発達研究グループ(田中啓治グループディレクター)に象徴概念発達研究チーム(入來篤史チームリーダー)、生物言語研究チーム(岡ノ谷一夫チームリーダー)が、学習機能研究グループ(Takao K Henschグループディレクター)に言語発達研究チーム(馬塚れい子TL)がそれぞれ発足しました。また、発生遺伝子制御研究チームが修復機構研究グループに移行し、新たに岡本仁修復機構研究グループディレクター、宮脇敦史先端技術開発グループディレクターが就任されました。
世界脳週間2004の開催
脳科学の意義と社会的な重要性を知ってもらうための世界的キャンペーンである世界脳週間2004が、去る2004年3月の15日から21日を中心に全国各地で開催されました。BSIでは、2004年3月14日に越谷市との共催による科学講演会を越谷市科学技術体験センターにて開催し、アルツハイマー病研究チームの高島明彦チームリーダーが「脳の老化を科学のメスで切る」-アルツハイマー病の謎に取り組む-と題して講演をしました。会場には小学生から大人まで参加し、活発な質疑応答が時間いっぱい交わされ、講演会は成功裏に終わりました。
先端脳・BSI病因遺伝子研究グループによる合同ワークショップの開催
2004年4月3日(土)鈴木梅太郎ホールにて、先端脳・BSI病因遺伝子研究グループは合同ワークショップ「脳疾患の病態研究と治療法開発の方向性」を開催しました。文科省特定領域研究「先端脳」(2000年発足)の領域代表である東京大学井原康夫教授が、この領域における神経疾患研究が、治療を対象とし始めている現状がよくわかるようなワークショップを行いたいと考え、また、特定領域研究「統合脳」の疾患関連領域「病態脳」(2005年発足)を準備している BSIの貫名の疾患研究の進展をまとめて勉強する機会がほしいという希望もあり、1月に急遽、本ワークショップ開催を決めました。急な開催決定にもかかわらず、講演をお願いした先生方から快諾のお返事を頂き、演者はBSI3名を含む13名となり、9:40-18:00の開催時間中はほとんど休憩のないタイトなプログラムとなりました。また、鈴木梅太郎ホールの定員は公称150名ですが、参加事前登録をお願いしたところ、180名を超える希望者があり、一部の方にはご参加いただけない事態となりました。実質参加者は理研からの35名を含む165名でした。前半は最近病態研究の進展めざましいパーキンソン病研究、また治療が現実化してきたアルツハイマー病についての免疫療法、凝集体形成機序に関する研究、ベータ蛋白産生に関与するγセクレターゼ阻害剤研究などについて報告が行われました。さらに将来の治療効果をどう追っていくかという点でMCI(軽度認知機能障害)に関し診断の現状や画像診断の可能性について報告がありました。後半では、最近病態研究が治療の方向性を示しだしてきたポリグルタミン病、病態研究が進みつつある筋萎縮性側索硬化症(ALS)研究の現状、またこれらの神経変性研究に有効なショウジョウバエのシステムの報告があり、最後に精神疾患領域で統合失調症や双極性障害などの研究で新展開している現状が報告されました。当日は幸い天気に恵まれ、若干桜が満開をすぎていたとはいえ、昼は参加者がお弁当を外で食べることができました。後日参加者から、神経疾患が今や治療に結びつきつつあるということがよくわかったという感想や、この領域の専門家の話をまとめて聞くことができて勉強になったという感想をいただき、今後も度々理研内でこのような会を行いたいと考えております。
理研一般公開
去る2004年4月17日、理研和光本所では、科学技術週間行事の一環として恒例の一般公開を開催しました。当日は、晴天にも恵まれて、昨年を上回る、5800人の来訪者を迎えました。BSIでも、脳の不思議に様々な角度から迫る体験コーナーや工夫を凝らした展示、また、研究者自らによる実演などに、お年寄りから子供まで、公開時間いっぱいに集う和やかで盛況な一日となりました。