理研BSIニュース No.29(2005年8月号)

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トピックス


『神戸研究所―横浜・免疫・アレルギー科学総合研究センター―和光・中央研究所―脳科学総合研究センタージョイントリトリート』を開催

2005年5月9日、10日の両日、伊豆熱川の熱川ハイツにて、『神戸・発生再生科学総合研究センター(CDB)―横浜・免疫・アレルギー科学総合研究センター(RCAI)―和光・中央研究所(DRI)―脳科学総合研究センター(BSI)ジョイントリトリート』を開催しました。一昨年のCDB―BSIジョイントフォーラム以来、これまで4回神戸と和光とで交互に開催してきましたが、今回はRCAIが加わり、開催場所を神戸と和光の中間ぐらいに位置する伊豆熱川に移し、リトリートという形式で初めて開催することとなりました。理研内における連携強化、研究協力が叫ばれる中、4つのセンターから118名が参加、活発な議論が行われ、発表者にはたくさんの質疑応答がありました。


今回も生物系のセンターが中心となっていますが、特別講演として川合表面化学研究室の川合真紀主任研究員が「Single molecule recognition and reaction: molecules at surfaces」というテーマで生物学以外の分野から講演し、反響を呼びました。  次回は、まだ参加していない播磨研究所(SPring-8)を加え、さらに幅広い分野からの参加を呼びかけ、理研全所的なリトリートにしていくことを計画しており、今後ますます理研内の協力関係が深まっていくものと思われます。



ワークショップ『Frontiers in Cellular Neuroimaging』を開催

2005年6月17日~21日、BSI神経回路メカニズム研究グループの主催によるワークショップ『Frontiers in Cellular Neuroimaging』がBSIにて開催され、大きな成功を収めました。


細胞イメージング技術は、ニューロンやグリア細胞を細胞間および細胞内レベルで可視化する非常に効果的な手法です。この技術は、分離した脳細胞にも生体内においても適用可能です。BSIは光学イメージングの分野において世界のリーダーであり、多くの遺伝学的にエンコードされた蛍光プローブが開発されている場所です。現在までのところ、BSIの達成した水準に対応するような国際会議は、専門会議を除いて存在しませんでした。従来、神経科学の研究において、先駆的な技術の論議が交わされてきたのは、コールド・スプリング・ハーバー研究所(米国・ニューヨーク州)やMBL神経科学研究所(米国・マサチューセッツ州)などの場所で開催される国際ワークショップにおいてでした。ワークショップ『Frontiers in Cellular Neuroimaging』は理研において、そしておそらくアジアにおいても数日にまたがる規模のイベントとしては初めてです。


イベントは、甘利俊一BSIセンター長の歓迎の挨拶で幕を開けました。ワークショップの講演者には、各国のこの分野でも著名なリーダーたちと若手研究者が参加しました。日本からの6名の講演者中3名は、BSIの研究者でした。招待講演以外にも、ワークショップ参加者によるショートトークのセッションが多数、およびポスターセッションとラウンドテーブルディスカッションが行われました。


ワークショップには約70名の人々が登録し、また登録にかかわりなく理研からの参加者は自由に参加が認められていました。イベントのうち2日間は週末であったにもかかわらず、多数の聴衆が集まりました。


参加者からは、このワークショップの講演の内容が最新のものでエキサイティングであり、研究においてインスピレーションの源になる、という感想が聞かれました。


主催者側には、次回の開催時期を尋ねる質問が数多く寄せられました。


このワークショップは多くの人々の協力と努力の成果で成功しました。なかでも、トンミ・ラッティ氏(照明・音響)と小倉純子氏(事務局)の活躍は特筆すべきものでした。


ウェブサイト:http://www.brain.riken.jp/events/neuroimage/(ウェブサイトの公開は終了しました。)



シンポジウム『Unraveling Higher Brain Functions: Recent Progress with Animal Models』を開催

2005年7月24~25日、パシフィコ横浜にてシンポジウム『Unraveling Higher Brain Functions: Recent Progress with Animal Models』がBSI先端技術開発グループ主催、Molecular and Cellular Cognition Society International後援で開催されました。脳の高次機能の分子および細胞機構の理解には、動物モデルの利用が必要不可欠です。その解析は、分子、細胞、ネットワーク、システムおよび個体の各レベルでの相互作用、さらには個体と環境間の相互作用など多岐に渡ります。このような研究を発展させる上で、多様な背景を持つ研究者および学生の交流は欠かせません。このシンポジウムは、今後の研究を展望する機会と研究者および学生が親しく交流し、議論する場を提供することを目的として企画されました。この趣旨に添い、本シンポジウムを7月26~28日開催の日本神経科学大会(Neuroscience 2005)のサテライトシンポジウムとしました。


24日にはポスターセッションが開かれ、約100名の参加者を得て、44題のポスター発表が行われました。25日には、国内外の先導的研究者12名によるオーラルセッションが開かれ、約140名の参加を得ました。両セッションとも、気楽な雰囲気で率直かつ熱心な議論が交わされました。最後に参加者を代表して、理研-MIT脳科学研究センターの利根川進グループディレクターが総括しました。その要点は、多様な動物種が有する特性を活かした研究を発展させることと、各々の実験系で分子機能を空間的(脳領域、細胞種、ネットワークレベル)および時間的に修飾する手法を一層研ぎ澄ますことの重要性についてです。


今回のシンポジウムは若い参加者の比率が高いことが注目され、動物モデルを用いた脳科学研究の未来に確かな手応えが感じられました。多くの参加者から、継続開催の希望が寄せられました。


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