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プロジェクト誕生のきっかけ


  • [米長会長の講演写真]

  • [共同研究発足時プレスの様子]

理化学研究所では、毎年「理研文化の日」を設け、自然科学とは異なる分野で活躍している方による講演会を開催しています。これは、「素晴らしい科学を生むためには、科学者は人間味や文化的教養を磨くべきである」という考えから始めた催しであり、理研の経営理念である野依イニシアチブの一つ「文化に貢献する理研」に基づくものです。

2006年の「理研文化の日」には、日本将棋連盟の米長邦雄会長からご講演をいただいたのですが、そのテーマは「人間の脳と将棋」という刺激的なものでした。
この講演や米長会長と脳科学総合研究センター伊藤正男特別顧問との懇談を通じ、将棋棋士を被験者とし直観について脳科学からアプローチするというアイデアが出てきました。
日本将棋連盟では、この出会いを契機として「Shogi・Super-Brain 研究会」を発足され、米長会長、谷岡大阪商業大学学長、伊藤特別顧問、さらには、マスメディアの方々も含めて「脳と将棋」について意見が交わされました。また、そこで富士通の方との出会いがあり、共同プロジェクトの開始に至ったのです。

このような経緯を経て、2007年に理化学研究所と富士通株式会社及び株式会社富士通研究所は、社団法人日本将棋連盟の協力を得て、将棋における局面の状況判断や指し手の決定過程等にかかわる脳の神経回路の情報処理メカニズムを解明し、人間に特有の直感思考の仕組みを解明することを目的とした共同研究プロジェクト「将棋における脳内活動の探索研究」の開始に至りました。

科学研究でよく言われる言葉に「セレンディピティ(serendipity)」があります。
これは「求めずして思わぬ発見をする能力。思いがけないものの発見。運よく発見したもの。」(大辞泉)を指すものです。
理研文化の日に米長会長の講演を依頼した方は、これが脳研究プロジェクトにつながると予想していなかったでしょう。
しかし、この一つの偶然の出会いから、将棋と脳研究のつながりを見出し、そして共同研究プロジェクトの発足に至ったことも、広い意味でのセレンディピティなのです。

 
 
独立行政法人 理化学研究所 脳科学総合研究センター 将棋思考プロセス研究プロジェクト(将棋プロジェクト)