Do you“脳”? 脳に関する基礎知識
脳研究の成果
最近の脳神経科学研究の様々な分野で大きな進展が見られた。そのいくつかを紹介しよう。
遺伝子
パーキンソン病やアルツハイマー病などの進行性の神経疾患のなかには遺伝する症例があることは以前より知られていた。最近になって科学者たちは、その原因遺伝子をいくつか同定した。その成果をもとに、遺伝子導入技術をはじめ、治療に結びつく可能性のある方法を開発している。
- Dr.SAIDO
- Dr.TAKUMI
- Dr.KATO
- Dr.YAMAKAWA
- Dr.YOSHIKAWA
機能イメージング
臨床医学では、MRI(磁気共鳴画像)やCT(断層撮影装置)スキャンによる脳の構造解析の方法が開発され、応用されている。現在では、脳の構造だけでなく、脳が実際に活動する様子を、いくつもの異なる脳部位で見ることが可能になった。
- Dr.MIYAWAKI
- Dr.CHENG
- Dr.GARDNER
先端基盤技術開発
レチノイン酸の受容体からレチノイン酸の結合部に蛍光タンパク質を連結したプローブを開発し、ゼブラフィッシュの胚の頭尾軸に沿ってレチノイン酸濃度の可視化に成功。これにより小脳と延髄(えんずい)の形成にレチノイン酸が重要であることを検証できた。
動物の体作りに重要なレチノイン酸の可視化に成功(プレスリリース)
GEPRAで可視化した胚のレチノイン酸濃度
- Dr.MIYAWAKI
- Dr.MIKOSHIBA
- Dr.ITOHARA
疾患における脳機能と行動の解明研究
血管内投与により脳の神経細胞だけに遺伝子を発現させる方法を開発。アミロイドβ ぺプチド(Aβ)を分解するネプリライシンの遺伝子を組み込んだウイルスベクターをアルツハイマー病モデルマウスに投与し、脳のアミロイドやAβの量を減少させることにより、マウスの学習・記憶能力の回復に成功。
アルツハイマー病の血管からの投与による遺伝子治療実験に成功(プレスリリース)
遺伝子治療後のアルツハイマー病モデルマウスの脳内アミロイドの減少
- Dr.SAIDO
- Dr.MOORE
- Dr.M.TANAKA
神経回路機能の解明研究
マウスの父性行動に、フェロモンの情報伝達抑制が重要であることを発見。独身の雄マウスでは、仔が発するフェロモンが鋤鼻器(じょびき)の神経回路を活性化させることにより仔への攻撃行動が生じるが、父マウスでは、そのフェロモンの情報伝達が抑制され父性行動が出現することが分かった。
マウスが父性行動を発現する神経機構の一端が明らかに(プレスリリース)
雄マウスを子育てに協力させる脳機構
- Dr.YOSHIHARA
- Dr.KAZAMA
- Dr.MURAYAMA
- Dr.OKAMOTO
- Dr.MCHUGH
健康状態における脳機能と行動の解明研究
将棋の素人に4カ月間詰め将棋を訓練し、訓練前後の脳の働きをfMRIで比較。素人でも詰め将棋を解く直観能力が上達すると、プロ棋士と同じように尾状核が活性化され、一定期間集中的に訓練すればプロ棋士と同じ直観の神経回路が活動することが判明した。
素人でも訓練によりプロ棋士と同じ直観的思考回路を持てる(プレスリリース)
詰め将棋を解いているときのプロ棋士の脳活動
- Dr.K.TANAKA
- Dr.Eng. TANIFUJI
- Dr.FUJII