ラボ日記
“ピンポーン♪”とインターホンが鳴る。
「はぁーい!」
デスクから立ち上がり、大急ぎで待合室へ。ドアを開けると、そこにはお母さんと赤ちゃんが待っています。
「こんにちは~、どうぞお入りください!」満面の笑みを浮かべるのをお忘れなく。
これは、私の所属する言語発達研究チームで毎日のようにみられる光景です。我が研究チームでは、赤ちゃんがどのようにことばを獲得していくのか、その過程をさまざまな手法を用いて研究しています。理研和光キャンパス周辺にお住まいのご家族にご協力いただき調査を行っており、赤ちゃん・ちびっこ研究員の数は2015年6月現在で累計7500名を超えました。1日に1~5組、多い時では10組ほどの親子が研究室にやってきます。
相手は赤ちゃんですから、調査の種類によっては100人の赤ちゃんにご参加いただいても30人分のデータしか取れない、という事もあります。調査が実施できる時間帯も、原則昼間のみ。ですから沢山の親子にご協力いただいてはじめて我々の研究活動は成り立っているのです。
ハイハイしても大丈夫なバリアフリーの待合室は、スタッフが幼稚園や保育園の部屋をイメージして手作りでレイアウト。理研の中でもここがもっとも研究室っぽくない研究室かもしれません。
赤ちゃん研究員、今日も泣いたり笑ったり、右に左に興味関心も秒単位で変わります。
眠~い お腹すいた! つまんない!
泣きたい時には泣きますよ。ちょっと待ってなんて言葉は通じません。当然スタッフは白衣にしかめっ面なんてご法度。ここでは赤ちゃんに気に入ってもらえたスタッフが一番えらいのです(笑)。
調査は時間との闘いです。モタモタしていると赤ちゃん研究員は飽きてしまいます。顔は笑って手は動かして、スタッフも毎回真剣勝負です。
そして無事調査が終わってお見送りタイム。抱っこされた赤ちゃんが満面の笑みでバイバイしてくれました。われわれの疲れが吹っ飛ぶ瞬間です。
2004年7月に手さぐりで始まった赤ちゃん研究ですが、今年で早くも11年目。これまで調査に協力してくださった沢山の親子と、我々の無理難題を(しぶしぶ?)受け入れてくれた理化学研究所に感謝しつつ、これからも赤ちゃん・ちびっこ研究員の皆さんと共に成長していきたいと思います。
“ピンポーン♪”
「はぁーい!」
では、調査がはじまりますので、これにて。
●研究活動についての詳細は下記をご覧ください。
BSI言語発達研究チーム:http://lang-dev-lab.brain.riken.jp/