理化学研究所 脳科学総合研究センター(理研BSI)
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脳科学の人 研究者インタビュー

研究者の生活朝9時から深夜まで

いつものタリーズで論文執筆中
いつものタリーズで論文執筆中

BSIに来るのは朝9時ちょっと前。研究室についたらまずメールをチェックします。次に研究ノートに目を通して、前日に行った作業内容の確認と今日のスケジュールの見直しを行います。ここまでが一日の仕事の準備で、この後はBSI内のカフェに行ってコーヒーを頂き、友達に朝の挨拶をしてから研究室に戻ります。午前中は主にデータの解析を行っています。

お昼ご飯は12時ごろに研究室の友達と理研の食堂に行って食べます。実験は午後に行います。人を対象とした脳機能計測実験を行っていますので実験協力者(主に理研の近くに在住の大学生)にBSIに来て頂いて実験を行います。実験に協力して下さる方はほとんどの場合初対面ですのでいつも緊張します。実験はだいたい3時間から4時間かかります。実験が終わると夕食の時間になります。最近は帰宅時間が遅いので、理研の食堂で済ませてしまいます。

実験をやらない日は、データの解析や解析用プログラム作りを行っています。この場合は椅子に座りっぱなしでパソコンとにらめっこ。データの解析では「今日は新しい発見ができるかも?」という期待感があり、プログラム作りではアイディアを形にする楽しさがあります。

夜になると論文作成など文章を書く作業を行います。たいていの場合、気分転換を兼ねてBSIのタリーズにパソコンを持ち込んで作業を行います。なお、論文は英語で作成します。高校時代は理科と数学が好きだったことに加え、国語と英語が苦手だったので理系に進んだのですが、研究者は日常的に文章を書かなければいけません。国語と英語、もっと一生懸命に勉強しておけば良かったといつも思います。

夜の11時ごろになると、その日に行ったことを振り返り、次の日に行うことを決めます。研究は長期的なスケジュールで行っているので、一日ごとに予定が大きく変わることはないのですが、次の日の予定については前日の夜に見直して決めるようにしています。

帰宅するのは0時ごろ。BSIから歩いて10分の所に住んでいるので通勤は苦になりません。晴れている日は理研のキャンパスを出る前に星空を見上げてから帰るのですが、冬は月やオリオン座がきれいで心が落ち着きます。

研究者の休日研究、和太鼓、サンバ、etc.

BSIの研究者仲間と
BSIの研究者仲間と

忙しい時は休日であってもBSIに来てデータの解析を行っています。BSI内のカフェにノートパソコンを持ち込み、美味しいコーヒーを飲んでリラックスしながら研究をしています。研究は楽しいので休日に職場(BSI)に来ても全然苦になりません。

研究以外の時間は和太鼓、サンバ、将棋をやっています。和太鼓の一つ一つの音はシンプルなのですが、みんなで打つといろんな音が出て楽しいです。毎年8月上旬に行われる築地本願寺の盆踊り大会では盆太鼓を叩いています。サンバは8月下旬に行われる浅草サンバカーニバルを目標にして練習しています。踊るのはとっても下手なのですが、浅草サンバの衣装や振り付けをみんなで考えて作り上げるのが楽しいです。将棋はエキスパートの直観を研究するプロジェクトに参加したのがきっかけで勉強するようになり、今も時々将棋教室に顔を出しています。

ほかには年に数回ですがBSIの有志で集まってBBQや餅つきなどのパーティーを行うなど、楽しく過ごしています。

アイディアが浮かぶ瞬間ふとした瞬間…

朝から晩まで毎日悩み続けた後のふとした瞬間。例えば、帰宅途中、BSIにあるカフェのタリーズで注文したコーヒーを待っている時。また趣味(バスケ・和太鼓・サンバ)の時間に、アイディアが絵のように浮かんでくることがあります。ただし、アイディアのほとんどはうまくいかず失敗ばかりですが。

BSIの良いところ脳研究者の楽園

意欲的な研究者が世界中から集まっていることが気に入っています。研究者の専門分野も様々で、自分にとって新しい視点や考え方に触れることができます。脳の研究をやりたい人にとっては楽園のような所です。

20年後の私その時に夢中なこと

その時に興味を持っていることに夢中になって取り組んでいる。たぶん、心や意識の問題について。

今一番知りたいのは自分!

自分の心や意識が脳のどのような仕組みで作り出されていて、自分が一体何者なのか?ということを知りたいです。心や意識の解明にどのようにアプローチしたら良いのか具体的なアイディアはないし、10年20年経っても解明できない大きな問題だと思うけれど、今一番知りたいことは自分自身。

高校生へのメッセージ

高校生のみなさんは勉強と部活動で毎日忙しい日々を過ごされていることでしょう。みなさんの中には、夢に向かって日々努力している人もいれば、大学入試やその後の将来のことで悩みもがいている人もいると思います。

私が高校生だった頃を思い返してみると、毎日一生懸命に勉強と部活に取り組んでいるのに期待するほどの結果を出せず、また将来の進路を明確に思い描くことができず、毎日悩んでいました。でも今になって思うことは、その時に一生懸命に悩んで努力したからこそ、脳科学の分野での研究という自分が本当に興味を持って取り組める職業に出会い、素晴らしい仲間に恵まれたBSIで仕事を行っている今の自分がいるということです。

東北大学に入学した時、「今が大切」という言葉を知りました。これは金属材料工学の父として知られる本多光太郎先生が東北大学で残した言葉です。努力は絶対に裏切りません。高校時代にたとえどんなに辛くて悩むことに出会ったとしても、今という時間を大切にして前向きに努力して下さい。

*中谷さんは理研の月刊広報誌 RIKEN NEWS(2007年9月号)でもBSI研究者インタビューが掲載されています。

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