理化学研究所 脳科学総合研究センター(理研BSI)
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脳科学の人 研究者インタビュー

20年前の私のび太くんに親近感

子供の頃は毎日遊んでばかりでした。友達と魚釣りに行ったり、カブトムシを捕まえにいったり、野球をしたりと。自然に恵まれた山形で育ったので、外で遊ぶのには困らなかったです。家ではインコ、カメ、ザリガニ、金魚などをたくさん飼っていて、また親の趣味でハンダゴテ、パソコン、無線機が身近にありました。このような環境で育ったので子供の頃から自然や技術に興味を持つようになり、大人になって気がついたら研究者になっていました。

好きなアニメはドラえもん。何をやってもダメなのび太くんを他人事とは思えず、毎週のようにテレビを見ていました。大学に進学する際に工学部を選んだのは、きっとドラえもんの影響が大きかったんだと思います。

将棋の駒で有名な山形県天童市は隣町。近所のどの家にも将棋盤と駒があって、友達と将棋を指して遊びました。BSIでは将棋を使った研究プロジェクトにも携わったのですが、子供の頃の遊び道具を研究で使うことになるとはその時は考えもしませんでした。中学に入ってからバスケットボールを始め、高校、大学と続け、今も金曜日の夜にBSIのメンバーとバスケをやっています。今振り返ってみると、子供の頃に経験したことの全てが今の自分の土台になっていると思います。

憧れの人藤子・F・不二雄(漫画家)

ドラえもんのポケットから出て来る様々な秘密道具のアイディア。研究を行う上でアイディアに困ることがしょっちゅうなので、あんなにたくさんの夢のあるアイディアを生み出せるところに憧れています。

好きだった教科理科・数学

小学生の頃は理科。特に実験をやったり、生き物を観察したりすること。遊びの延長のような感じで理科の授業を楽しんでいました。中学・高校に進むにつれて授業で実験を行う機会が減ったこともあり、理科よりも数学が好きになりました。数学では答えを導き出すために考えることが楽しかったです。

脳科学に進んだきっかけドラえもんみたいなロボットを

水色の人形はホッとする必須アイテム
水色の人形はホッとする必須アイテム

高校生の頃はコンピュータやロボットに興味があったので工学部の電気情報系に進学しました。コンピュータについて学べば学ぶほど脳における情報処理に興味を持つようになりました。脳には簡単に出来てコンピュータには難しいことがたくさんあります。またその反対のこともあります。例えば、コンピュータは大量のデータを事前に決められたプログラムに従って高速にかつ正確に処理することは得意です。しかしコンピュータの性能が現在の技術の延長上でいかに進歩しても、臨機応変に振舞ったり直感的に判断したりといった私たちが日常においてごく普通に行っている処理を行うことは苦手です。

またコンピュータに代表される情報通信技術は現在では私たちの生活の隅々まで入り込み、社会を支える主要なインフラになっています。しかし、これらは私たちのような知性や感性を備えてはいません。便利な道具であっても、仲の良い友達のように私たちの気持ちを察して接してくれるわけではありません。

脳における情報処理の仕組みを理解し、その知見を情報通信技術に応用することで人のような知性と感性を備え、人とコミュニケーションを行うコンピュータやロボットの開発につなげたいと思って脳科学の世界に飛び込みました。子供の頃にテレビで見た「ドラえもん」のようなロボットを作りたい!という夢を持って脳の研究に取り組んでいます。

脳科学の面白さ「不思議」がスタート地点

面白さの一つは、自分の中にある「不思議」に気がつけばそれが研究テーマになること。一口に脳科学と言っても、脳の中の細胞やそのネットワークの活動を調べたり、脳の病気の原因を調べたりなど様々な研究分野があります。僕は人の認知機能を調べています。日常の中で普段何気なく行っている「見る、聞く、話す、考える、笑う」などは全て研究のテーマになり得ます。例えば騙し絵を見た時、ただ面白いで終わるのではなく、なぜ騙されるのか?と「不思議」に思うことで脳における視覚情報処理解明のスタート地点に立つことができます。

また研究を始めると、自分自身が「不思議」の固まりであることに気がつきます。自分の中に潜むたくさんの「不思議」に出会えることに面白さを感じます。

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