理化学研究所 脳科学総合研究センター(理研BSI)
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脳科学の人 研究者インタビュー

研究者の生活研究中心の生活

中川さん専用の顕微鏡
中川さん専用実験セットアップ。長時間、集中力を伴って実験を続けるコツは、背筋を伸ばし負担のかからない姿勢を保つこと。実験前の仮眠とコーヒーも必須です!
顕微鏡で見た脳スライス
顕微鏡で見た脳スライス

研究の仕事は、上から降ってくるものばかりではなく、自分で見つけて自主的に行う部分が大きいです。そのため、なかなか区切りを付けられず、夜は日付が変わる頃まで研究室にいることが多いです。午前はメールチェックや実験データの解析、実験準備など細々したことを行います。研究所内の食堂で昼食を済ませたら実験を始めます。1回の実験はだいたい6時間かかり、終わると夕ご飯の時間です。夕食も所内で済ませます。その後はデータ解析を行うことが多いですが、もう1回実験を行う日もあり、そうすると深夜のすごい時間に帰宅することになります。実験2回を連日行うと、徐々に人の話し声はノイズに感じられ、人間性が薄れていき、ある種の陶酔感に包まれた状態に・・・。これほどまで実験モチベーションを上げられることはなかなか無いですが、生活の大部分は研究を軸に回っています。休みの日も、予定が入らなければ研究室に来て仕事をします。公私の区別をしない方だと思っていますが、今は変えるつもりがないですね。息抜きは新聞を読むことと植物の世話をすること。これらも研究所内で行っています。

研究者の休日ヴィオラの練習

いつかやりたいと思っていた弦楽器、ヴィオラを1年前(2013年春)に始め、自主練の他にレッスンやオーケストラで練習しています。上達することが本当に楽しく、熱心に練習しています。一方で、与えられた曲だけでなく、ジャズやポップスの曲をアレンジして周りの人を『おお!』『へえ!』と思わせたい、なんて考えています。いろいろ構想(妄想?)をふくらませていますが、圧倒的に技術が足りないことを痛感しており、今は大人しく演奏技術の向上に努めています。

アイディアが浮かぶ瞬間脇道にそれることも◎

朝起きて、しかしベッドからなかなか出たくないとき。稀に、ぐるぐると同じ思考を繰り返していた昨日の問題がすっきり解消されたり、とりとめもなく思索にふけっていてハッとするアイディアが浮かんだりします。それから、興味本位で脇道にそれた実験を行っているとき。想像(妄想?)を膨らませる多くのアイディアを与えてくれます。そうして生まれた新たなアイディアをまた試す。ほとんどはハズレですが、運がよければ大当たりが待っていてくれます。ちょっと前の自分でさえも思いも付かないようなことを発見したときの快感は研究の醍醐味の一つであり、様々なアイディアを頭に溜め込む作業は大事なのです。

BSIの良いところ研究にどっぷり浸かれる環境

豊かな研究環境の下、思う存分研究に打ち込むことができます。様々な研究室があり、幅広い分野の研究を見聞きする機会に恵まれています。意識が高い研究者が多く、自分も頑張らなきゃ、と刺激を受けます。金曜日の夕方には「ハッピーアワー」というパーティーが開かれ、研究室の主催者から大学院生まで幅広く人が集まり、お酒を飲みかわしながら研究話や雑談に花を咲かせます。家に帰る気も薄れるくらい、居心地が良いですね!

20年後の私若手研究者、未来の研究者たちと共に科学する

相変わらず自分のもっとも興味ある研究テーマに取り組めていたらいいな、と思います。今は自分の研究テーマをほぼ1人で進めていますが、20年後には興味を同じくする若手の研究者たちとチームとして大きな問題に取り組みたいです。
もうひとつ、小・中学生を対象に科学を体験してもらう活動を行いたいです。大学時代に「サイエンスキッズ」というプログラムがあってそのスタッフをしていましたが、子どもたちが科学に触れて目をきらきらさせている様子が忘れられず、いつか自分もと思っています。

今一番知りたいのは脳の広範囲にまたがる神経結合の法則性

現在は、大脳新皮質のごく狭い範囲での2つの神経細胞間の結合を調べています。しかし私たちの脳活動は、広大な大脳新皮質に加えて、海馬や視床など様々な脳領域との連携によって作られています。脳のいろいろな領域にある多くの細胞から同時に活動を記録して、様々な神経結合の法則性を見つけていきたいです。チャンスがあれば、意識や記憶に関わるような神経回路を探りたいです。

高校生へのメッセージ

皆さん、ぜひとも研究を知って体験してみてください。もし、科学の楽しさ、美しさを知らないまま通り過ぎてしまうとしたら、もったいないです。
多くの大学や国の研究機関では、一般公開などの形で研究を広く公開しています。科学に特別に興味がない人も、科学館や博物館に行くと楽しめますよね?一般公開は無料で様々な研究を見聞きできる、体験できる場所であり、オススメです!まずは有名な大学や研究機関のホームページを覗いてみてください。また、インターネット経由で研究を分かりやすく紹介しているところもあります。このBSI Youthは、まさにそれですね!もしちょっとでも研究に興味がわいたなら、同じような友達を見つけて情報を共有し合って、一緒にイベントに行ってみたりインターネットを泳いでみたり、手軽に楽しんでみてください。そうしてさらに興味を高めてもらえたら嬉しいです。

研究者に興味を持つ人は、機会を見つけて、恐れず研究者に話しかけてください。分からないこと、不思議に思うことを素直に聞き、研究のいろいろなことを知ってほしいです。研究者の生活とはどんなものか、といったことまで聞けると良いですね。また、それぞれの研究室は個別にホームページを持って研究内容を紹介しています。難しい研究は理解できないことがあるでしょうけれど、きれいな写真や模式図を見るだけでも、科学のすごさを感じられると思いますので、ぜひ見てみてほしいです。特に興味を持てる分野があったなら、インターネットで調べたり図書館で関連する本を探したりして理解を深めてくださいね。特に意識の高い学生は、お目当ての研究室がある大学を選び、入学早々から研究室に出入りする人もいます。皆さんも、何かに特別な興味を持ったなら、大学の研究室にコンタクトを取ってみては?教授は大喜びしますよ!

研究は楽しくて刺激的、天職だと思う人もいるでしょう。その一方で、努力しても芽が出ず挫折してしまう人もいます。研究者として成功するにはどういった要素が必要か?僕なりにいくつかお話しします。

さて、少し脅かしてしまったかもしれませんが、研究を始める前から自分の研究者としての素質を見極められる人はほとんどいません。研究を始めたばかりの頃には、先生や先輩から比較的にラクな研究テーマが与えられることが多く、この過程で研究者としてやっていけそうか考える人がほとんどでしょう。今は、身近にあるチャンスを逃さず、科学に対する好奇心を育てていただけると嬉しいです!

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