理化学研究所 脳科学総合研究センター(理研BSI)
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脳科学の人 研究者インタビュー

20年前の私理科係の思い出

近くの海や野原で生き物探し
近くの海や野原で生き物探し

小学校5年生で理科係をしていました。元々はメダカなどの世話をする係だったと思うのですが、もっといろいろな生き物が教室にいたほうが楽しいだろうと考え、ほかのメンバーと協力して学校の外で生き物を捕まえ始めました。ただ、学校の周りは住宅地が多く、自然はそれほど豊かではありません。そこで毎週日曜日の朝6時頃に集合して、それから自転車で30分ほど離れた公園に行き、そこにある人工的に造られた川を下流から上流までくまなく探索しました。最初はあまり生き物を見つけられなかったのですが、だんだん良いポイントがわかってきて、ザリガニやドジョウ、ヒキガエルなどを捕まえられるようになりました。川の上流まで丁寧に探すと昼過ぎになるので、皆で駄菓子屋へ行き、カップ焼きそばやお菓子を食べたりしました。このときの経験がとても楽しく、今の研究の原点になっています。ただし、捕まえた生き物には愛着がわいて、結局家で飼うことにしました。

憧れの人ごつごつした○○

人ではないのですが、小学生のころからワニに憧れています。大きくてごつごつしているところが魅力です。いつか大人しいワニを見つけて、手なずけるのが夢です。

好きだった教科物理大好き

小学校、中学校では勉強が好きではなかったのですが、高校2年生のときに物理が好きになりました。最初に授業で習ったのはボールが坂を転がる法則で、重力などの条件を数式で設定しておけば、その後の運動を予測できるというところに衝撃を受けました。当時は物理以外の成績が悪かったこともあり、物理ばかり勉強していました。その後、浪人中もいろいろな物理の参考書を読んで、とても楽しかったことを覚えています。今はカエルの合唱の法則を数式を使って研究していますが、このときの勉強が役に立っています。

脳科学に進んだきっかけ物理とカエルの両方ができること

大学では、小学生のころから生き物が好きだったこともあり、野生生物研究会というサークルに入りました。野生生物研究会にはさまざまな生き物に興味のある学生が集まっていて、いろいろな場所を旅行して生き物を観察しました。このサークルの先輩と一緒に訪れた島根県・隠岐の島での経験が、今のカエルの研究を始めるきっかけになりました。隠岐の島へは、この島にしかいないオキサンショウウオやオキタゴガエルを観察しに行ったのですが、途中で田んぼに寄り道してヘビを探したりもしました。このときにカエルがたくさん鳴いていたのですが、よくよく聞いてみると、カエル同士がぴったりとタイミングを合わせているのです。僕が通っていた京都大学の周りにも田んぼはあったのですが、このようにたくさんのカエルがぴったりとタイミングを合わせて鳴くことはなく、すごく面白い現象だと感動しました。その後、研究室を選ぶときに、物理もカエルも両方やりたいと思い、今のテーマを始めました。

脳科学の面白さコミュニケーションを可能にする脳

人が周囲の音を聞いて状況を把握したり、会話でコミュニケーションをとったりするように、動物もさまざまな方法で音を利用しています。例えば、民家の屋根裏に住むアブラコウモリは超音波を放射し、その反響を頼りに餌となる昆虫を捕まえます。また、ジュウシマツという鳥は、複雑な鳴き方をするオスのほうがメスにもてます。このように多様な行動を実現しているのが、動物の脳なのです。
僕たちは、ニホンアマガエルが近くの個体同士で交互に鳴くという法則を発見しましたが、すべてのカエルがそのような行動をとるとは限りません。これからは様々な種類のカエルの行動、そしてその行動のもとになる脳機能の研究にもチャレンジしていきたいと考えています。

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