理化学研究所 脳科学総合研究センター(理研BSI)
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脳科学の人 研究者インタビュー

20年前の私与えられるだけの答えには疑問をもつ

少年時代 父の書斎にて
少年時代 父の書斎にて

小中学生、高校生の頃は、「なんで?」と疑問に感じることが多くありました。「常識だよ」と返されたら、ムッとなり、さらに「なぜなんだ?」という気持ちになりました。
つまり、ただ答えを教えてもらうだけでは、自分の中では解決せず、納得できなかったのです。その答えが導かれる過程(証明)を知りたいと思いました。なんでそんなに簡単に言い切れるのだ、と思うことがありました。

憧れの人偉大なる科学者たち

研究を進めれば進めるほど、過去の有名な科学者たちの偉大さを感じます。例えば、「地動説が正解である」と言うのは簡単なことかもしれません。ガリレオ・ガリレイが登場する以前から地動説のアイディアはありました。しかし、地動説=真実とはならない。それは、「地動説が正解である」ことを証明できないからです。つまり、科学においては「証明する」ということがとても重要なのです。ガリレオはその重要な証拠を示すことができたからこそ、私たちは地動説が真実であることを知るわけです。
地球が動いている、ということを証明することはとても難しく、それをスペースシャトルなどが開発されるずっと前に地上にいたままで証明したのですから、その凄さがわかると思います。
様々な知識やアイディアを用いて証明をしてきた、科学史に名を残す偉大な科学者たちは私にとって憧れの人です。

好きだった教科苦手教科はあるが全部好き

すべて好きでした。嫌いな教科はなかったです。小中高では国語はあまり得意ではありませんでしたが、今でも国語は基礎としてとても重要だと感じています。人に正確に物事を伝えるためには、言葉(漢字や表現、文学など)を知っている必要があるからです。

脳科学に進んだきっかけ脳はどこまで計算できるのか

物理のように、数式でニューロンの実際の活動を再現できたときに、「脳も計算できてしまうのか」と驚きました。どこまで脳を計算できるのかについて挑戦してみたいと思ったのが脳科学に進んだきっかけです。

脳科学の面白さ
自分の脳を使って自分の脳の仕組みを理解できる?

この事象の犯人はどこに潜んでいる?

私にとって研究の面白さは「真実はただ一つ」という点です。いわゆる探偵みたいなものかもしれません。様々な証拠を並べて証明し、犯人(真理)を見つけることが面白いところです。
特に脳科学では、「自分の脳を使って(考えることで)、自分の脳の仕組みを理解できるのか」という矛盾のような疑問があります。自分の中に捜している犯人がいる、と言えるかもしれません。
脳は我々にとって身近であるにも関わらず、宇宙のように未知なることでいっぱいです。脳科学はまだまだ新しい分野でもあり、医学の知識のみならず、数学、物理学、生物学、心理学、教育学、経済学、そして、情報科学など多くの分野の垣根を越えた研究が必要です。すなわち、あらゆる知識とアイディアでたった一つの真実を追い求めて行く科学者(探偵)にとって、脳科学はとても興味深い研究対象(事件)なのです。
さらに、脳のメカニズムが解明されたときには、様々な脳の病気を治療でき、たくさんの患者様を助けることができるかもしれませんし、効率の良い勉強方法やスポーツの練習方法が開発されるかもしれません。また、人間と同じように感情豊なロボットが開発できるかもしれません。このように、脳のメカニズムを解明することで、多くの分野への貢献があるのも脳科学の面白さの一つです。

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